「え?」

第5話 妊娠アウティング
【後編】

原作:夫婦カウンセラー 下木修一郎
監修:弁護士 森上未紗(愛知県弁護士会所属)
作画:ChatGPT

おおっ!夫ドリルが話しかけてきた・・・


「夫ドリル〜〜〜いったいどうなってるんだ?」

「だって怖すぎるじゃないか・・・」

とにかく、俺はほっとした。

ほっとしたのもつかの間、我に返った。

「ところで、すべての選択肢を選んだのにクリアできないってどういうことだ?」

「そんな・・・ずっとループし続けるってことか?」

「足りないもの?」

「そ、それは・・・」

「覚・・・悟?」

「そんなこと…彩が大切に決まっているじゃないか」

「どちらにもいい顔・・・そんなことは!!」

俺は夫ドリルの言葉を否定しようとした。

「覚悟か・・・」

そんなこと、考えもしなかった。

俺ひとりでは、気付けなかったかもしれない。

「わかった……俺、今度はちゃんと自分の言葉で母さんに話すよ。」

俺は母親に電話をかけた。

「母さん、お願いがあるんだ。」

母親の声が少し驚いたように変わる。

「どうしたの?」

「彩は今妊娠初期で、ちょっとデリケートな時期なんだ。」

母は何も言わない。

「だから夫として、しっかりと彩を支えようと思う。なので、今はそっとしておいて欲しいんだ。」

母は少しの沈黙の後、静かに答えた。

「そうね…私もつい心配で。でも、彩さんが安心できるようにするのが一番ね。」

「ありがとう母さん、おやすみ。」

電話を切った。

たぶん、自分の言葉で言えた気がする。

「さあ、家へ帰ろう!」

家に戻り、俺は彩に話した。

「今日、母さんに電話して、お願いしたよ。」

「お願い?」

彩は少し緊張しているようにも見える。

「俺が彩を支えるから、今はそっとしておいて欲しいって。」

彩の目に浮かんだのは驚きと安堵が入り混じった感情だった。

「……ありがとう。でも、拓也は大丈夫?」

「うん、俺は彩が一番大切だから。」

「ありがとう。」

ああ、俺はこの笑顔が見たかったんだ・・・

その瞬間、再び夫ドリルのウィンドウがポップアップした。

少し取り戻し、現時点で調整か・・・

「……タイムリミットがあったおかげで、今回はちゃんと動けたのかもしれない。何もしないで放置してたら、また彩を不安にさせてた。」

「覚悟を決める、ということだな。」

夫になることがどういうことなのか、ちゃんと考えてもいなかった。

前の人生では、経済的に支えることしか考えていかなった。

今回の人生は彩の気持ちを考えたつもりだった。

けれど、夫として妻を支えるという覚悟はしていなかったのかもしれない。

そうだろうな。

やはり親はとても大切だ。

優先順位なんて付けたくないのが正直な気持ちだ。

「まぁ・・・そうだよな。」

「分かった。何度も葛藤し、覚悟を積み重ねていくよ。」

「ところで今回、わざと何度も失敗させてたんだな。俺に覚悟をもたせるために。」

夫ドリル第3話 <終わり>

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