小さな幸せがあふれる夫婦の法則

小さな幸せがあふれる夫婦の法則

夫婦再生カウンセラー 下木修一郎

発行:夫婦図鑑


目次

はじめに

これまで見たものの中で最も美しかったものは、腕を組んで歩く老夫婦の姿でした。

グレタ・ガルボ (スウェーデン出身のハリウッド女優 / 1905~1990)

「死がふたりを分かつまで」という結婚式の神父の言葉に深く感激しながら、ふたりの幸せは一生続くに違いないと思って結婚する人は多いでしょう。私もそう思っていました。少し乱暴に言えば、結婚さえすれば幸せになれるんだ、と思っていたのです。

しかし現実には、2021年は18万4,386組、単純計算で2分に1組が離婚しているのです。愛し合っていたはずなのに、最後は憎み合って違う人生を歩くことになってしまう夫婦はたくさんいます。

幸せになるために結婚をしたはずなのに、なぜ幸せは続かないのでしょうか。

私は夫婦カウンセラーとして結婚生活で悩む5,000人を超える方と直接お話しをしてきましたが、1,000人を超えたあたりから、うまくいかなくなる夫婦の考え方にはある法則があることに気がつきました。

そして5,000人を超えた今、その法則を紐解き、どうしたら夫婦が幸せでいられるのかを体系化してお伝えしたいと考えるようになりました。これまでのカウンセリングを振り返りながら書いては修正を繰り返し、そしてようやくあなたにこのweb冊子をお届けできることになりました。

ここに書かれたノウハウは自分でも実践していますので、私たち夫婦の関係はとても良好です。ただ面白い(?)ことに、私たち夫婦はテレビに出ているベストカップルのようなスマートなライフスタイルの実践者でもなく、いつも家を美しく保っているような完璧な夫婦とは正反対です。お互いに不満も結構あります(笑)。生まれた土地も違うし、価値観だって違います。たまにケンカだってします。

それでも、結婚してから今が一番幸せであると互いに感じられているのは、このノウハウを実践しているからです。相手があなたにとって理想的な存在でなくても、またあなたが相手にとって完璧な妻や母親でなくても豊かな結婚生活は実現できるのです。

このweb冊子のタイトルである「小さな幸せがあふれる夫婦の法則」に、私はひとつの想いを込めています。夫婦にはいろいろなスタイルがあり、いろいろな幸せの形があります。ラブラブな夫婦もいれば、一見さほど親密そうに見えなくても実は十分幸せを感じている夫婦もいます。夫婦の幸せの形は人それぞれです。

しかしどのような夫婦にも一つだけ共通していることがあります。それは、人生と同じく、夫婦も毎日の積み重ねによって豊かさが形づくられていくということです。毎日の生活のなかで本当に小さな、普通の生活では見落としてしまうような、ごくわずかな幸せに気付く感覚を持つことができれば、たとえ離れていても、どんな価値観であったとしても、夫婦生活は豊かであり続けるのです。

この「小さな幸せを見つけられる」知識を形にすることが、夫婦関係に悩んでいる方々の役に必ず立つと私は信じています。この冊子があなたの夫婦に対しての考え方を変えるヒントになり、豊かな夫婦生活をおくる「道しるべ」となることを願っています!


第一章 なぜ夫婦は不仲になるのか

昭和の始め、90年前の日本では「恋愛」で結婚する夫婦は13%と少なく、恋愛と結婚とを結びつける意識はとても低いものでした。

しかし現代の日本において、結婚は恋愛の延長線上にあります。実際に約9割のご夫婦が恋愛結婚という選択を取っています。結婚は好きなもの同士がするものになったのです。

そんな恋愛の末に結婚を選ぶわけですから、この人の事が大好き!この人と結婚したら一生幸せでいられるに違いない!と思うのは当然です。

ですが現実には、その好きな人を憎むまでになり、別々の人生を歩む人たちが後を絶たないのはなぜでしょう。相性が悪かったのでしょうか、それとも単に相手を見る目がなかったのでしょうか。どうやらことはそんな単純な問題ではありませんでした。

もしあなたが今「幸せを感じられない結婚生活」をおくっているとしたら、次の項目に当てはまる考え方を持っているかもしれません。

結婚とは何かを深く考えたことがない

あなたにとって、結婚とは何でしょう。結婚とは何かを言葉で表すことができますか。言葉にできないものは叶えることができません。あなたの結婚生活が豊かにならない一番の理由は、結婚とは何かを深く考えたことがないことにあります。

経済的に安定したい、この人と一緒にいると楽、子供がほしい、世間体。結婚とは何かを深く考えず、年齢的にもタイミング的にも、ここで結婚しなければ!という思いで結婚する人はたくさんいます。

とにもかくにも、なんとか無事結婚できた!これで人生安泰だ!とつい考えてしまいがちですが、残念ながらそれは錯覚です。

あなたがそのような錯覚を感じてしまうのは仕方がありません。なぜなら、「幸せにします」と誓った彼の言葉、皆に祝福された夢のような結婚式、自動的に毎月入ってくる彼の給料が、あなたを結婚という鉄壁の守りの中にいるかのように思わせてしまうからです。

結婚について真剣に考えることなく時は過ぎていきます。その間にも旦那さんの気持ちは変化しているかもしれませんが、自分のことで忙しいあなたはそのことに気付きません。

「妻の座にあぐらをかいてしまいました」

17年の結婚生活の末に旦那さんから離婚を言われてしまったご相談者の言葉です。

結婚について真剣に考えないと、結婚で起きる小さな幸せを見つけることはできません。考えていないので、いったい何が幸せかわからないのです。旦那さんが何かしてくれたとしても「してもらって当たり前」にしか見えなくなってしまうのです。

相手から愛されようとする

結婚生活を続けていると、相手の気持ちがよく分からなくなってしまうことがあります。その結果、不機嫌な相手の機嫌を損ねないように相手の顔色を伺って行動するようになる人もいます。親から否定されて育った方にもよく見られる傾向ですが、相手に迷惑をかけないようにしなければと、無意識に自分のやりたいことを我慢しながら生きている人もいます。

相手から愛されようと努力することは悪いことではありません。しかし、愛されようとするあまり、あなたが自分らしさを失っていたとしたらそれは大きな問題です。自分らしさを失った人は周りから見て魅力的ではないからです。

魅力とは、あなたが好きなことをしているときに現れるものです。決して自分を偽っているときに生まれるものではありません。

相手から愛されていないのではないかという不安はどんどん大きくなり、自分が何を望んでいるのかも分からなくなってしまいます。自分を見失ってしまうと「小さな幸せ」を見つけることはとても難しいのです。

自分を変えられない

相手に対してつい責めるようなことを言ってしまう。イライラが止まらない。相手が嫌な気持ちになっていることが分かっていても、自分の態度を変えられない人がいます。

夫婦は鏡ですから、あなたの態度が悪ければ、相手の態度も悪くなっていくものです。もしあなたが、自分の態度が悪いのも相手のせいであると考えだと思えば、イライラを相手にぶつけることは止められないでしょう。

自分が何を言っても相手が受け止めてくれるという歪んだ関係に、あなたは「愛」を感じるようになります。自分が何をしても受け止めてくれるのは愛されているからに違いないと錯覚してしまうのです。もっともっと愛されていることを実感したいあなたは、さらに態度をエスカレートさせてしまうでしょう。

それは愛によく似ていますが、実はあなたの「欲望」ですから、いくら相手から受け止めてもらっても満足することはできません。もっとだ、もっとくれ!と叫ぶあなたに相手は疲弊し、この関係を終わらせようと考えるようになります。

小さな幸せを感じられる人は、相手からの愛を引き出そうとはしません。たとえ相手が表面的に何もしなくても、自分が愛されていることを実感する術を知っているからです。

幸せになれないと思っている

インスタグラムにあふれる友人夫婦の楽しそうな家庭の写真。フェイスブックにアップされる会社の同僚の休日の幸せそうな動画。人と比較することには意味が無いと分かっていても、SNSを見ることを止められない。自分はなんて不幸なのだろう、自分だけなぜ旦那に愛されないのだろう、なぜ自分だけ、なぜ…。

自分を不幸だと思う人は、次々と不幸なことを考える不幸思考の連鎖から抜け出せなくなります。その理由は明白です。不幸を事前に考えることによって、実際に訪れた不幸へのショックを和らげることができるからです。「あの人は私のことが大事じゃない。だから今日も帰りが遅くなるに違いない。」とあらかじめ不幸な自分を想像していれば、遅く帰ってくる旦那に対してのショックを軽減することができるからです。

不幸な考えの連鎖に陥った人の一番の問題は、幸せな出来事に遭遇しても、それを素直に受け取ることができないことにあります。幸せを受け取ってしまった後に、不幸なことが訪れたらもっと不幸になってしまうと考えてしまうので、幸せを受け取ろうとしないのです。

少し視点を変えるだけで、あなたの周りには幸せがたくさんあることに気づくことができます。ほんの少しの勇気が、あなたの結婚生活を変えるのです。

相手に問題があると考えている

浮気している、収入が低い、自分本位、態度が冷たい、頭が悪い、子育てに協力してくれない、借金、暴力、考えを押し付ける、セックスを断る。愛情を感じない相手に問題がある!と考えるのは自然なことです。相手に怒りを感じてしまったあなたの頭の中では「相手が変わること」以外に解決策は浮かばないでしょう。

「自分が悪い」と考える必要はありませんが、相手のせいにしてしまうことで、あなたが何も行動を起こさなくなるのは大きな損失です。結婚の幸せは相手が運んでくるものではなく自らの手でしか掴めないからです。行動を起こさなければ、いつまでたってもあなたは池の鯉のように口をパクパク開けて幸せが降ってくるのを待つことになってしまいます

手の届くところに小さな幸せがあったとき、それに手を伸ばすか伸ばさないかを決めるのはあなた自身です。「自分が幸せになるために、自分に出来ることがあるかもしれない!」と勇気をもって決断することで、あなたの周りの小さな幸せは「ここにあるよ!」と自らの存在をアピールするようにキラキラと輝きはじめるでしょう。

相手に関心をもてない

相手に問題があると考えた末に行き着く終着点、それは相手への無関心です。相手に絶望を繰り返し、ついに心が麻痺してしまった状態ともいえます。仮面夫婦とも呼ばれます。社会的、経済的に離婚が強いマイナス要因となって離婚できない夫婦によくみられます。

そもそも仮面夫婦は結婚生活を良い方向に変えたいという発想を持たないので、仮面夫婦でもいい、と思っているご夫婦はこの文書を読むこともないでしょう。ただ、急に旦那が離婚を言い出したなどのキッカケでこのままでは離婚になってしまう>_<)と慌てふためきたどり着いたという方もいるかもしれません。残念ながら、仮面夫婦の期間が長ければ長いほど、夫婦関係の修復は困難を極めます。あなたがどう努力をしても、夫は「何を今更…」という目でしかあなたを見ることができないからです。

たとえ仮面夫婦になったとしても、子どものために絶対に離婚だけは選択しない!と決めているあなた。子どもの前でいくら普通の夫婦を演じていても、夫婦仲が良くないことくらい子どもは容易に察します。逆に「自分のせいで両親は離婚できないのか」と罪悪感を感じる子どもも少なくありません。相手への無関心は、子どもの結婚感にも大きな影を落とすことになるでしょう。

仮面夫婦とは目を閉じて夫婦生活をしているようなものです。目を閉じていては小さな幸せを見つけることはできませんね。

お金についての知識がない

あなたは常にお金のことを考えながら生活していませんか。例えば、お金のためにしたくない仕事をしている。お金がないから子どもに満足な教育を与えられない。ついお隣さんと比較して貧しい気持ちになってしまう。お金さえあればもっと…!という毎日を生きているとすれば、すでにあなたはお金に支配されている状態かもしれません。

お金が無いことの不満の矛先がパートナーに向いたとき夫婦仲はおかしくなり始めます。「もっとこの人の給料が多かったら!この人が無駄遣いするせいで!この人が、この人が…!!」お金のせいで幸せになれないという考えは、頑張っているパートナーへの感謝を打ち消してしまうに十分な破壊力を持っています。

お金がたくさんあれば幸せになれるのか?と言われれば、私の答えはノーです。多くの資産を持っていなくても幸せに生きている夫婦はたくさんいるからです。ですが、日本人はもともとお金に対して「汚い」イメージを持っているため、お金について学ぶということをしません。お金に対しての知識が浅いため、夫婦問題とお金が絡んだ時の対処がうまくできず、責めることしかできなくなるケースがとても多いのです。

私にお金のアドバイスをくれる友人、ファイナンシャルプランナーで夫婦問題の研究家でもある竹内美土璃(みどり)さんはこう言います。

「お金を殖やす方法は『働いて稼ぐ』『投資して殖やす』『使わずに節約する』の3つしかありません。知識があれば、お金は作れるのです。」

お金についての知識を持たないということは、頑張っているパートナーの努力をないがしろにする行為といっても過言ではないのです。

夫婦のお金専門家の竹内美土璃さん紹介ページはこちら

幸せを見つけるための知識や習慣を持っていない

かつての日本には「結婚したら実家の敷居をまたぐな」といってお嫁にいく時代がありました。離婚することは恥ずかしいことであり、親戚や周りの人に隠したい出来事でした。嫁姑問題や浮気、介護問題や価値観の相違など夫婦に様々なトラブルが起きても、戻る家もなければ、収入もない。耐えるという選択肢しかなかったのです。

そんな苦しい状況の中ででも人生経験を重ね、夫婦の本当の喜びは小さなことの積み重ねにあると気付かれた方々は「昔は大変だったけど、今は幸せよ」と自分の人生を満足そうに振り返られます。耐えることで、自然に知識と慣習を身に着けることができたのです。

結婚に対しての意識も大きく変わった現代、何かトラブルがあると「いつでも帰ってきなさい」という親も増えました。その言葉に安心感を感じて頑張る方もいますが、本当に実家に戻ってしまう人もたくさんいます。忍耐の末に知識と習慣を得るというやり方は、今の時代には合わなくなってしまいました。

かつて苦労した人々も今の人たちにその苦労はさせたくないと言います。あなたが幸せを見つけるための知識や習慣を得たければ、あなた自身が知識と習慣を学ぼうとする意識を持つ必要があるのです。

幸せの目標になる夫婦や相談できる人がいない

あなたの周りに幸せそうな夫婦はいますか?SNSなどで幸せアピールをしている夫婦ではなく、考え方や生き方の手本となるような夫婦です。そういう存在がいる人はとてもラッキーです。そのご夫婦から学ぶことで、自分たちはこうなりたいね、こうしよう!と、自分たちの一歩先の未来をお互いに共有することができます。

もし周りに結婚について不満しか言ってない人ばかりだとしたら、どうなるでしょう。「結婚なんてするもんじゃない」「我慢だね」「離婚しようかな…」このような言葉を言う人しかいなければ、おのずとあなたは結婚についてネガティブな思いを持つようになります。人は無意識に周りの環境に感化されてしまうものです。

ネガティブな考えを持つ人たちに夫婦のことを相談するとどういう答えが返ってくるでしょう。「旦那最悪だね」「別れた方がいいよ」「他にいい人がいるって」あなたの味方を装いながら、あなたの結婚生活を壊そうとしてくるはずです。悪意があるわけではないのです。彼らは本当の夫婦の幸せを知りません。今の状況を変える方法を知らないのです。

手本となる存在、あるいはあなたのことを真剣に考えた上でアドバイスをしてくれる人を探しましょう。きっと今の生活の中に既にある「小さな幸せ」に気付かせてくれるはずです。

自分が離婚するなんて思っていない

周りに離婚した夫婦はいますか?最近離婚することは珍しくなくなってきました。日本の2021年の離婚件数は18万4,386組となっています。人数で言えば約37万人。(ちなみに品川区の人口は38万人)このような現実があるにも関わらず、自分たち夫婦が離婚することはないはずだと信じている人たちは未だにたくさんいます。その根拠を幾つか挙げてみましょう。

「旦那は子どもを大事にしている」
「あのひとは裏切ることはない」
「浮気などできるタイプじゃない」
「ケンカもしたことがない」
「夫が好きだと言ってくれている」

これらの言葉、実は夫婦問題を抱えてご相談に来られた女性から伺った、離婚問題が起きる直前の「旦那さんの印象」なのです。突然離婚して欲しいと言われた方たちの多くは、まさか自分に離婚問題が起きるなんて思っていなかったのです。

離婚は絶対に「ない」と思っているあなたの考えは、残念ながらあなたの思い込みに過ぎません。しかも、その思い込みは旦那さんの気持ちの変化を見逃してしまう大きな原因にもなります。旦那さんのくれる「小さな幸せ」に気付くためには、目を大きく開き、あなたの周りの出来事を隅々までしっかり観察する必要があるのです。


第二章 夫婦に起こる不幸な6つの出来事

カウンセリングを受けたある相談者が、「だから私はうまくいかなかったのですね、やっと分かった気がします。」と目を輝かせながら私に言ってくれました。そして、その後に少しうつむきながらこう続けました。「もっと早く先生に会いたかったです・・・。」

知識と習慣の習得は早いほど良いにも関わらず、誰も積極的に夫婦について学ぼうとは考えません。そもそも夫婦について学ぶことは常識ではないのですから仕方の無いことかもしれませんが。。。

知識や習慣を知っていれば少ない労力で解決できることはたくさんあります。その反対に、知識や習慣が無いためにうまく対処できず大問題へと発展してしまうことはとても多いのです。ここでは、夫婦のことを知らなかったから生じてしまった6つのケースをご紹介します。

失われる相手との信頼関係

結婚に対しての知識がないために、結婚に対して勝手な思い込みを抱いている人はとても多くいます。結婚して一番はじめに感じるのは、自分の思い通りにならない相手への苛立ちでしょう。

結婚式の日、相手が一生の愛を誓ってくれたことによって、これから私は一生この人から愛をもらえるのだと期待します。なのに、結婚しても全然早く帰ってきてくれない。家事も手伝ってくれない。期待に応えてくれない相手への苛立ちは増すばかりです。「私をわかってくれない、私を想ってくれない、私を愛してくれない、自分勝手だ・・・」と、結婚の誓いを裏切られたように感じてしまいます。

相手を裏切り者のように思っていれば、相手を信頼することは難しくなっていきます。たとえ相手が思いやりをもった行動をしてくれたとしても、信頼できないあなたは相手の愛情を上手く受け取れません。何かしてもらったとしても「私だって頑張っているんだから!」と反発してしまいます。

愛は欲しいのです。欲しいのに、うまく受け取れない。常に愛情に飢えている状態なのです。

与える方もどんどん苦しくなっていきます。いくら与えても相手は素直に受け取ってくれないのですから当然です。このようにして夫婦の信頼関係は失われていくのです。

自分らしく生きられない生活

出産を機に生活は一変します。ほぼ全ての時間を子どもに費やすことになります。趣味、習慣、友達、仕事、それら全てが自分の思い通りにはいかなくなります。自分らしくいられなくなります。

結婚すると仕事で得た収入の大部分を家族のために使うことになります。家族のために安定した収入を得ようと、仕事のやり方、考え方も変えることになります。自分を犠牲にすることもあるでしょう。

結婚するとこのように生活が一変することをあらかじめ知っていれば、どのように対処すればいいかを二人で話し合うこともできるでしょう。たとえ完璧な解決方法が見つからなかったとしても、一緒に考え取り組んだという経験は、「あのとき大変だったよね!」と、結婚を振り返ったときの喜びにもなるでしょう。

しかしこのような知識を持っていなければ、この不測の事態にうまく対応できません。ただパニックになるばかりでしょう。こういうときに自分が我慢すれば何とかなるに違いないと、ただひたすらひとりで頑張ってしまう人も決して少なくありません。

我慢をすればするほど、自分らしさは失われていきます。それが長く続くと、自分らしく生きられないのはこの人と結婚したからだ、と考えるようになっていくのです。

止まらないケンカ

ケンカするほど仲が良い、という言葉があります。相手に対して本音がいえるほどの仲である、と言う意味です。本音が言い合えることはとても素晴らしいことのように思いますが、夫婦間においての本音とは、問題が起きている事柄よりももっと根深いところにあることが多いのです。

夫婦間におきるケンカの原因の多くは、とても些細なことです。朝のゴミ出しを忘れたとか、食器が片付けられてないとか、頼まれごとを忘れてしまったとか。さほど深刻な内容では無いにも関わらず、気付いたら離婚騒動まで発展することもあります。例えば次のようなケースです。

なんで買い忘れるの?
→私の言うこと聞いてないよね
→あのときだってそうだった
→やっぱり私に関心がないんだ!
→幸せにするって言ったのに、私のこと愛してないんでしょう!!

夫婦のケンカが深刻化する理由は、ケンカした理由ではなくて「自分が愛されていないのではないか?」という心の底にある不安を呼び覚ましてしまうからです。感情的なあなたを見て、相手は「この人はこんな冷たい人間だったのか」と感じてしまいます。

相手からの愛情の受け取り方を学んでいないと、相手から愛されていないという思いが強くなってしまい、相手を責め続けることを止めることができなくなってしまうでしょう。

家庭の中で生きづらくなる子ども

「相手のことが嫌だけれど、子どもが可哀想だから離婚せずに暮らしていく。子どもたちが大きくなったらその時離婚しよう。」そのように考え、生活をともにしている女性がいました。この状態は子どもたちにとって幸せなのでしょうか?と問いかけると、その女性はこのように答えてくれました。

「習い事ができなくなるなど、金銭的に子どもに辛い思いをさせたくないですし。それに、子どもが離婚はイヤだと言ったので。」

結婚とは何かという知識を持たない子どもは、離婚するとどうなるかなんて分かりませんから、反対するのは当然のことです。もちろん、離婚が子どもに与える環境の変化は大きいですから、できれば避けたいというこの女性の気持ちはとても良くわかります

ですが、毎日ケンカが絶えない、作り笑顔の両親、不機嫌な母、悲しそうな父。嫌な思いをして夫婦を続ける両親の姿を子どもに見せ続けるとどうなってしまうのでしょう

子どものために離婚できず、夫婦仲もうまくもいかず、どうすればいいのかと悩んでご相談に来られた女性のある言葉を思い出します。

「自分の親も不仲でした。きっと子どものために離婚しなかったのでしょう。けれど、親の不仲を見るたびに、なんで離婚しないのかと思っていました。でも、結局自分も同じことをしているように思います。」

親が言葉で何を語ろうとも、子どもは親の生き方を見ています。偽って生きる親の姿を見ることは、離婚することよりも残酷なのかもしれません。離婚するのか、それとも、本気で夫婦を修復するのか。中途半端な選択は、子どもの人生も中途半端にしてしまうでしょう。

退屈な夫婦生活

ごはんを作って、掃除して、洗濯して、の繰り返し。夫は毎晩遅く帰ってくる。不仲ではないけれど、話もしない。夫婦生活もない。子どもは手がかからなくなった。何も不自由ない生活。でも、、、。

子育てが一旦落ち着き、慌ただしい人生が一段落すると、このような虚しい気持ちに襲われることがあります。

バージニア大学の実験で、人は退屈な状況におかれると、そのまま退屈を耐えるよりも電気ショックを受けた方がマシだと考える傾向があることが分かりました。退屈は人間にとって、痛みよりも苦痛だというのです。

退屈な結婚に刺激を求めて安易に浮気に走る女性が増えています。SNSなどを使って気軽に連絡を取り合えるようになったことも、その状況を後押ししています。

浮気は確かに刺激的ですが、その代償はとてつもなく大きいものとなります。実際に浮気が発覚して離婚を要求されたとき、親権を脅かされる、あなたと浮気相手へ慰謝料を徹底的に要求するのが男性の特徴です。あなたがどんなに寂しかったかを切々と訴えても、男性は妻の心情を汲み取れるほど強くはないのです。

毎日の他愛のない人生の中にも、たくさんの小さな幸せがあります。毎日は決して同じではありません。ただ残念なことに、取り返しのつかない状況にならなければ、人は気付くことができないようです。

憎み、敵対しあいながらの離婚

離婚を選択することが必ずしも不幸ではありません。世の中には離婚した方が幸せになれる夫婦もたくさんいるでしょう。ただ、別れ方はとても大切です。二人の間に子どもがいる場合にはなおさら慎重にならなければなりません。

憎み合うようなひどい別れ方をしてしまうと、二人が出会ってから今までの時間が無意味なもの、無駄だった、ただの苦痛だったと感じてしまいます。結婚に対して後悔しか残りません。それはこの後の人生に大きく影響を及ぼします。

ある交流会で出会った30代半ばの女性に”夫婦カウンセラー”の名刺をお渡しすると「もう結婚なんてこりごりですよ!」と言われました。聞くと2年前に離婚したとのこと。2年経っていても結婚の嫌な記憶は強烈に彼女に住みついているのです。これはひとりやふたりではありませんでした。交流会に参加しにくくなったのは言うまでもありません。

自分自身の傷はそのうち癒えていくでしょうけれど、問題は子どもに対しての対応です。いがみあって離婚した場合、別れた旦那に子どもを会わせたくないと感じるものです。子どもにとって父親である元旦那の話は一切家では出ませんし、何かの拍子で元旦那の悪口を言うこともあるかもしれません。子どもは父親を思い出すたびに心が苦しくなります。

ですが、怒りに支配された母親はそのことに気付くことはできません。もし気づいたとしても、子どもの気持ちを受け入れることはできないでしょう。

6つの不幸な出来事をご覧いただきましたが、他にも不幸な出来事はたくさんあります。不幸の種類は夫婦の数だけあるのです。そのことをロシアの小説家トルストイはこのように表現しました。

幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである。

(アンナ・カレーニナ〈上〉より トルストイ著、中村 融 訳)

育った環境が違う、お金の使い方が違う、言葉使いが気に入らない、清潔感がない、物の考え方が偏っている、態度が悪い、見た目が醜い、怠惰な習慣、仕事をしない、子育てに積極的ではないなど、自分はこんな人と結婚して不幸だ!と感じる要因は数限りなく存在します。まさに家庭の数だけあるといえるでしょう。

ところが、幸せな家庭はどの家庭も似たような習慣を持っているのです。そのパターンこそが、結婚の小さな幸せを見つける知識と習慣なのです。


第三章 小さな幸せを感じる夫婦の生き方

幸せな家庭。あなたはどのようなイメージを思い描くでしょうか。

カウンセリングを受けられる多くの女性が「結婚前のラブラブで幸せな時に戻りたい」と言われます。旦那さんから「可愛いね」と言われ、いつも大切にしてもらい、話を聞いてくれたあの頃。旦那さんにたくさん愛されたあの時。それが幸せのイメージなのです。

しかし、その幸せのイメージにはひとつの疑問が生じます。結婚前のラブラブ状態の延長線上に、今の不仲な状態があるのではないでしょうか。ラブラブをもう一度再現したい!と考えると、結局また同じことを繰り返してしまうかもしれないということに気付いておく必要があるのです。

でも、幸せのイメージなんて他には浮かばないよ・・・と思ってしまいますよね。そこで、実際の幸せな夫婦はどんな特徴を持っているか見てみることにしましょう。きっとたくさんのヒントがあるはずです。

ピンチをチャンスに変えられる

あるビジネス勉強会で「昔は大変だったのよ。でも、今が一番幸せ」と微笑む74才の女性に出会いました。彼女は、夫の仕事がうまくいかず大変だったこと、子育てにたくさん苦労したこと、姑の介護など、苦しかったはずの出来事を楽しそうに語ってくれました。でも、それを乗り越えたからこそ自分は今幸せだと感じているそうです。

お金の問題、不妊や流産、増える喧嘩、姑との関係、浮気、育児、少ない会話。幸せになるため結婚したにも関わらず、結婚生活ではこのような辛い経験が訪れることもあります。結婚しても絶望することはあるのです。その絶望のあとに、どう考え、どんな選択をするのかによって、結婚生活は大きく変わっていきます。

この困難を人生の転機だと考え、自分の行動を変えるという選択をするのか。それとも、なぜ自分だけがこんな目に合わなければならないのかと、辛い出来事に囚われ続けるか。困難を乗り越えたご夫婦は「ピンチをチャンス」に変えた人たちであることは間違いないのです。

たくさん会話する

幸せな夫婦の大きな特徴のひとつは、会話の多さにあります。とにかくよく話をします。その内容のひとつひとつはたいしたことではありません。今日の出来事や、テレビの感想、明日の予定、どうでも良いことを話し、聞いています。心地よいテンポで会話をしています。

たくさん話しをするとなぜ仲良くなれるのでしょうか。それは会話を通じて相手のことを学習しているからです。相手と会話を重ねることによって、お互いの会話のパターンを予測できるようになっていくのです。たとえば

(夫)「明日晴れかな?」
(妻)「だったらどこか行こうよ」
(夫)「俺もそう思ってた!」
(妻)「ほんと!?」

というイメージです。このように会話が弾む状態を「私たちは気が合う」と感じます。他の人では感じられない自分たちだけの会話の弾み方が生み出され、気持ちが通じ合っている感覚。これが会話における小さな幸せです。この幸せの価値を知っている夫婦は、相手のことを知ろうと積極的に相手の話を聞くことができるのです。

自分に素直に生きている

とても自然な雰囲気の夫婦っていますね。この夫婦の特徴は素直であるということです。自分のやりたいことをやっているし、イヤなものはイヤと言える。常に意見が一緒である訳もありませんから、たまにはケンカもします。でも仲が良い。その理由は、自分がありのままでいられることが幸せなことだと知っているからです。そして、ありのままの自分を受け入れてくれるパートナーという存在に心から感謝しているのです。

お互いが素直であり、そのことに感謝できることが幸せな夫婦の特徴なのです。

自分らしくいられる手段として結婚を選択する人がいます。親の束縛から逃れたかった人や、過去に身勝手な人間と付き合ったことのある人など、自分らしく生きられなかった経験を持つ人は、自分を受け入れてくれる人に安心を求めて結婚します。

「この人となら自分らしくいられる!」という思い込みが強すぎると、ほんの少しの理想とのズレでも気になってしまい、愛されていないと苦しむことになります。幸せになるための手段として結婚を選択すると、大切なものを見落としてしまうのです。

相手に関心を持っている

幸せな夫婦は、相手に対して高い関心を持っています。相手の好きなこと、興味のあること、頑張っていることを知って、刺激を受けたり、嬉しくなったりします。相手を見ているときとても幸せそうな顔をしているのは、次は相手がどんなことを言うのか、どんなことを考えているのかという相手への好奇心でもあるのです。

輝く瞳で見つめられるパートナーも、思わず嬉しい顔になっていきます。嬉しそうに見つめ合っている夫婦を見て「どんだけラブラブ!」と思わず突っ込みたくなりますが、ラブラブに見える正体は、実は相手への関心の高さです。

夫婦関係に問題が起きている女性に話を聞くと、「旦那に関心を持っていなかった!」とおっしゃる方はとても多く、「頭のなかは子ども9割で、旦那1割以下でした」「もう大人なんだから自分ひとりでやってよ」と思っていたそうです。

子どもはあなたがいなければ生きてはいけないのですから、関心の全てが子どもに向けられるのは仕方のないことです。ですが、十数年も旦那さんに無関心を続けると、どんな鈍感な旦那さんでも「俺のこと大切じゃないんだ」と考えるようになってしまうのです。

お金に対してふたりで話し合える

お金を上手に使うことで結婚生活が豊かになることは間違いありません。幸せな夫婦は、お金が自分らしく生きるための道具であることを知っています。お互いが頑張って得たお金を使って豊かな生活をするために、お金をどう活かすかという知識を持っているので前向きに話すことができます。ふたりでお金のことを話し合える夫婦は、ふたりの今後の生き方という夢を共有しているのです。なんて幸せなことでしょう!

多くの日本人はお金に対しての知識を持っていません。ですから、お金の話をふたりでするときには「お金が足りない、どうしよう」という後ろ向きの話になってしまいます。夫婦仲が悪くなった時、表面的には性格の不一致だとしても、その根底にはお金の問題が隠れていることも少なくないのです。もし、もう少しお金の知識があったら?もしかしたらその問題は解決できるかもしれません。

お金の知識を持つということは、単にお金を増やすためのものではなく、人生をより豊かに生きるための知識でもあるのです。

いかがでしたか?小さな幸せを感じることのできる夫婦、私もなってみたい!と共感された方もいらっしゃると思います。「やってみよう!」と思った方もいるでしょうし、「でも、夫が全然協力的じゃないし。」とがっかりする人もいるかもしれません。

でも、大丈夫です。夫婦はいっしょに行動しなければうまくいかない、というわけではありません。むしろ、ひとりで動き始めたほうが、足取りも軽く行動できるため、早く変化が訪れるものなのです。もしあなたが小さな幸せを感じる夫婦になりたいと思うのならば、次の法則を意識してみましょう。


第四章 小さな幸せがあふれる夫婦の8つの法則

小さな幸せを感じることのできる夫婦は、以下の8つの法則を大切にしています。どれひとつとっても難しいことではありません。ですが、付き合っていたときには自然にできていたことも、結婚するとなぜか忘れてしまうものです。

もしあなたの夫婦関係がうまく行っていないのであれば、それは夫婦関係を見直すサインだと思ってください。今の状態を受け入れ、自分自身と向き合い、豊かな未来のために一歩を踏み出すタイミングなのです。

① 自分らしさを出す

人生において、人はいろいろな役を演じます。旦那さんの前では妻として振る舞い、子どもの前では母親として頑張り、親の前では子どもとして親を支える、というように。でもやはり大事なのは「自分が好きなことをする」こと。結婚したからといって、自分らしさを消す必要などありません。あなたはあなたなのです。

もちろん100%好きなことをすることはできないでしょう。だからといって、全てをあきらめる必要はない。どんな状況であっても、人間は自分の好きなことをしているときが一番すてきな表情をしています。

もし自分の好きなことをすることが家族の迷惑になると考えているのであれば、そのことを素直に伝えてください。自分の考えを出すことも自分らしさなのです。旦那さんと一緒にいるときが一番幸せだ、という人は、幸せを与えてくれている旦那さんにそのことを伝えてください。どれだけ幸せなのかを全力で表現してください。恐れなくてもいいのです、だって、それが本当のあなたらしさなのですから!

② 人は変わっていくことを知っている

人間は変化し続ける生き物です。環境の変化によって、考え方も変わっていきます。あなたのパートナーも結婚した時と今では随分変わったはずです。男性でいえば30代後半から40代前半は仕事で大きく立場が変わるとき。考え方も、悩みも変わっていきます。嬉しいことや、欲しいもの、価値観も変化していくでしょう。

変わっていく相手に不安を覚えるかもしれません。でもそれはとても刺激的なことでもあります。変わっていく相手を受け入れることで、あなたは彼の影響を受け、自分でも想像していなかった新しい自分に出会うことができるからです。これは結婚が生む化学反応であり醍醐味でもあります。まだ見たことのない新しい世界に足を踏み入れるのも、「ふたり」だから楽しいのです!

③ 言葉を大切にする

言葉は魔法です。相手をあたたかい気持ちにさせたり、うれしくさせたり、楽しませたりすることが自由自在にできるのです。あなたが言葉の魔法をかけると、相手はみるみる幸せな気持ちになります。でも実は、その魔法の言葉を口にしているあなたが最も幸せの魔法にかかっています。なぜなら、あなたの言葉を一番近くで聞いているのは、あなただからです。

相手を責めたり、馬鹿にしたり、見下したりする言葉は悪い魔法にもなります。悪い魔法の力は強力です。一度悪い魔法をかけてしまうと、相手はその魔力からなかなか抜け出せなくなってしまうほどです。

世の中から「話す」ことがどんどん減っています。ある調査では、家族と会話する時間がこの35年間でなんと約3時間半も減ったそうです。スマホの普及で家族の会話はさらに減っていくでしょう。ですが、小さな幸せを感じる夫婦は・・・もうお分かりですね。言葉という魔法を使うか使わないかは、あなた次第なのです。

④ 相手を知り、共感を示す

「この人なら分かってくれる!」と思ったからこそ、今のパートナーと結婚することができましたね。人間は共感されることが大好きです。共感されていないと不安で仕方がないという方も多いですね。結婚生活を続けていくために共感は大切な能力です。

ですが、わたしたちは本当に相手の気持ちを理解することが出来るのでしょうか。性別も違う男女において、共感などは不可能だと私は思っています。残念ながら相手がどのように苦しんでいるかなんて、完全に分かりあえるわけはないのです。正直私も妻が考えていることがよく分かりません(笑)。

でも、だからいいのです。本当に辛い時、お互いに同じように辛くなってしまったら共に倒れてしまうでしょう。夫婦はそれでは困るのです。そもそも、結婚で性格の違う相手を求めるのは、共倒れを防いて子孫を残すためなのです。

もちろん、まったく気持ちが分からないのと、なんとなく分かるは大きく違います。例えば「最近仕事が辛くって」という旦那さんに対して「しっかりしてよ!」と答えてしまっては、共感ゼロです。がっかりされます。家族の奴隷のような、寂しい思いをさせてしまうでしょう。

そんなとき、男性はいったいどのように物を考え、何を求めているのかを知識として知っていれば寂しい思いをさせなくて済みますね。何が嬉しくて、楽しいのか。どんなことが嫌で、辛いのか。それを知識として持ち、トレーニングを積めば「大変だったね」と自然に共感を示せるようになるのです。

⑤ 客観的に自分を見る

小さな幸せを感じている夫婦が実践し続けていることは、極端に言えばたったひとつ

『幸せを見つけ、喜びを伝える』

これだけです。幸せを感じる仕組みはとてもシンプルです。でもこんな簡単なことが、夫婦になるとできなくなってしまう。小さな幸せすら見つけられなくなってしまうのです。いったいなぜでしょう。

脳科学者の中野信子氏は「人間は、自分が内部にいて当事者になると、客観的に物事を見ることができなくなる」と言います。外から見れば簡単に分かることも、家族や夫婦になると物事を客観的に見えなくなるのです。

たとえば、旦那さんの愚痴を言っている友人に「え~それ幸せだよ!?」と思ったことはありませんか?なんで分からないのだろう?というくらい分かりやすい幸せも、当事者になると分からなくなってしまいます。幸せの中にいると、幸せが見えなくなる。そういう特性を人は持っているのです。

自分を客観的に見るために自分は相手からどう見えるのかを意識すること、客観的に自分を見る方法を学ぶことは、小さな幸せを感じる夫婦になるための大きな一歩なのです。

⑥ パートナーのために努力をする

みなさん毎日家族のために大変がんばられています。朝から晩まで子育て、仕事、家事と、本当に惜しみなく努力されています。子どものため、家族を守るための努力はとても素晴らしいものです。しかし、家族のための努力が夫婦仲を悪くする原因になっているとしたら、あなたはどう思いますか。

カウンセリングをしていると、女性のお客様のほぼ全員が「私、旦那に何をしてあげたのだろう」と言います。「改めて考えてみると、家族のために努力はしてきたけれど、パートナーに対して、自慢できるような努力をしていないかもしれない。」と言うのです。

男性のご相談者は全然違う視点で考えているようです。「家族のために我慢してきた。でも妻に愛情があるのかはよく分からない。」

パートナーと幸せになりたいと結婚したのに、いつのまにか自分の生活を「守る」ことが一番になってしまうようです。でも、その生活の中にパートナーの笑顔はあるでしょうか。最後にパートナーのとびっきりの笑顔を見たのはいつですか。パートナーの笑顔がない生活とは虚しいものです。もう一度、心からのパートナーの笑顔に出会いましょう!

⑦ 男性と女性の考え方の違いを知っている

小さな幸せを感じる夫婦は、相手の小さな幸せを知っています。相手が喜ぶこと、嬉しいこと、ワクワクすることを知っています。相手の幸せを知る方法は、相手に興味を持ち、深く観察することです。

ところが困ったことに、観察してもさっぱり分からないときもあります。良かれと思ってした行為が相手をイライラさせてしまったりする。そこには男女の考え方の違いが関係しています。

たとえば、ストレス発散の方法。女性はストレスの内容を話すことでスッキリすることができます。多くの女性がなが〜〜〜〜い時間楽しそうに話し続けることができますね。うちの奥様もすごいです(笑)。

ところが男性はストレスに対して話すことで解決しようとはしません。風呂に入ってぼーーーっとしたり、テレビを見ながらぼーーーっとしたりすることで、頭を整理させ、ストレスに対して対処しているわけです。だから妻から話しかけられると、夫はイライラするわけです(汗)。

男性特有の考え方、特に家庭を持った男性がどのように考え、何を大切にしているのか、そして妻になにを望んでいるかを知っている女性は、男性のよくわからない態度にも落ち着いて対処することができるというわけです。

⑧ 結婚した喜びを伝える

「結婚して良かった」と思い合っているご夫婦は、自分が稼いでいるから、自分が家事も子育てもやっているからこの家庭は上手くいっているのだ、とは思っていません。パートナーがいてこそ、今の自分の幸せがあることを日々実感しているのが特徴です。

そして、その喜びを事あるごとに相手に伝えます。時には優しく触れることで。時にはお互いに見つめ合いながら。ときには寝る前にそっと相手の手を握ることで喜びを伝えるのです。そして、伝えられた方もまた、その喜びを相手にやさしく伝え返します。

「以心伝心」という言葉があります。言葉を使わなくても互いにに通じ合うことを指しますが、本来の意味は、言葉や文字で表されない仏法の神髄を、師から弟子に心で伝えるという意味だそうです。言葉で伝えられないものを、心をもって(以て)心に伝える。伝えることに心を込めるわけです。心を込めた思いは伝わるのです。

ちなみに、よく夫婦の間で感謝の言葉を伝えない人が言い訳のように言う「夫婦なのだから、言わなくても分かるでしょう?」というのは「私の気持ちを分かってくれよ」であり、伝えるところに心を込めてはいません。そもそも「ありがとう」は言葉にできるわけですから、言葉で伝えられるものを伝えないというのはただの手抜きです。

小さな幸せを感じる夫婦になるための8つの法則をご覧いただきました。もちろん、全てを行う必要はありません。どれでもいい、自分のなかで何か感じたものから取り組むことで、あなたの結婚観は少しずつ変化していくでしょう。

実際にこの8つの法則を学び、実践した方で、大変な状態から豊かな人生へと変わった方がいます。どのようにして人生を変えていったのかをご紹介しましょう。


第五章 Aさん38才の結婚生活に起きたこと

高校生と中学生の子どもをもつ専業主婦のAさん。会社員のご主人と結婚して17年目。ここ1、2年は夫婦の仲がギクシャクしていたそうです。お互いになんとかしなければと思っていたようでしたが、それに向き合うだけの勇気がなかったと言います。

そんなある日、Aさんは旦那さんの浮気を知ってしまいます。携帯電話にはラブラブな相手からのメールが何通もありました。そして鞄の中を見るとコンドームまで。あまりのショックでどうすればいいか分からなくなったAさんは、それを旦那さんに突きつけました。旦那さんは「ただ食事にいっただけだ」というのです。そんなこと信じられないAさんの怒りは収まりません。

そして同時にAさんは自分に自信を無くしていきます。旦那さんが家を出ると、浮気しているのではないか、と思い続ける日々。どうしたら浮気をやめさせることができるのか、どうしたら相手は別れてくれるのか、なぜ旦那は自分を見てくれないのか。

旦那さんに対して不安とイライラとが入り交じる状態が3ヶ月続きました。もともと細目の身体にも関わらず、体重も5キロ以上減ってしまったそうです。「子どもたちに気付かれないようにと気丈に振る舞ってはいたつもりでしたが、きっと気付いていたでしょうね。」とAさんは言います。家の中の雰囲気も悪くなっていたそうです。

夫のこと、結婚のことを学んだAさんは、旦那さんからたくさんの「小さな幸せ」をもらっていたことに気付きました。旦那さんは自分にたくさんの愛情を与えてくれていたのに、それを当たり前のように感じていた。子どものことや家のことをちゃんとやることが自分のやるべきことと一所懸命頑張っていたけれど、夫への関心は減っていたことに愕然としたそうです。

たくさんの愛情に気付いたことを伝えると、旦那さんは「ありがとう」と言ってくれたそうです。でも、旦那さんは浮気を止めるとも何も言いませんでした。

ですが、ここから彼女自身が変わっていきました。毎日の小さな幸せを見つけ、今まで素直に言えなかった言葉も積極的に伝えるように頑張りました。そして、自分らしさを取り戻すため、前からやりたかった英会話の仕事にチャレンジし始めました。それは、いつかはやりたいと思っていたけれど、子育てに追われて、いつのまにか諦めていた夢だったそうです。

数ヶ月後、そこには嬉しそうに旦那さんとランチをするAさんがいました。今まで旦那なんていない方が楽でいいと思っていたのに、今は出張でいないだけでも寂しいと思うようになったそうです。変化は旦那さんにも訪れていました。今まで会社のことなんて話さなかったのに、今では仕事の大変さを話してくれるようになったそうです。

そしてなによりAさんが一番嬉しかったのは、旦那さんから「愛してるよ」と言ってもらえたことでした。

英会話の仕事はまだまだ大変だそうですが、それでも楽しそうに活動するAさん。「毎日いろいろな事があり、まだ苦しい思いをするかもしれません。でも、私は主人とふたりで生きていきます^^)」と満面の笑みで話すAさんの顔に、もう迷いはありません。

Aさんのように、相手からの愛情に気付けなくなってしまう人は後を絶ちません。「結婚することで幸せになれる」と思う人ほど、相手から愛されて当たり前だと思い、愛されないと不満を感じるようになってしまいます。

それにしても、「愛」とはいったい何なのでしょう。なぜ人は愛にこんなに振り回されてしまうのでしょうか。精神科医の泉谷閑示さんは著書の中で、愛と欲望の違いについてこう述べています。

愛とは、相手が相手らしく幸せになることを喜ぶ気持ちである。
欲望とは、相手がこちらの思い通りになることを強要する気持ちである。

(『「普通がいい」という病』より 泉谷閑示著)

「愛」していたから結婚したのに、いつのまにか幸せになりたいという「欲望」を満たそうとしてしまう。だから、旦那が思い通りに動かないと不満が止まらなくなる。そして、あきらめ、関心を失っていく。愛だと思っていたものが、実は欲望だったということは夫婦相談の現場ではとても多いのです。

そんな「欲望」から離れることは出来るのでしょうか。

その答えが「小さな幸せ」なのです。すでにあなたの周りにはたくさんの愛があるのです。でも結婚の知識もなく、誰も教えてくれなかったために、あなた自身が自らの欲望に囚われてしまい、小さな幸せを見つけられなくなってしまうのです。

出会った頃には自然に感じていた小さな歓び、たとえばパートナーが笑っている姿をみるとあなたも自然と嬉しくなったあの歓びを感じられるようになること。それが欲望から開放される鍵なのです!


おわりに

1980年ごろまで結婚が容易にできた時代には「結婚とは何か」なんて考える必要はありませんでした。給料は右肩上がり、安定した生活、会社も今ほど忙しくなく、出会いの機会も十分にあり、恋愛することに憧れ、男は仕事、女は家、という幸せのイメージを多くの人が持っていました。

でも今は違います。終身雇用の崩壊、男性の平均年収は300万円、安心をお金で得ることが難しくなってきました。仕事も忙しく、プライベートに割く時間はどんどん減少し、出会いが無いと不満を漏らします。幸せのイメージもなく、結婚はコストパフォーマンスが悪いという人もいます。

「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです。」

ある結婚情報誌のCMで使われている言葉は、結婚の価値観が変わったことを伝えています。ここ30年で時代は大きく変わり、人々の価値観もまた大きく変化しました。

ところが、なぜか家族のイメージだけはそのまま引き継がれているのです。

給料も増えないのに、家族を養うために働き続け、家にほとんど居ない旦那さんの喜びとはいったい何なのでしょう。家族を守るために働き続けた結果、日本は世界に類を見ないほどの残業大国となってしまいました。

旦那さんの居ない家で孤独に家事や子育てをこなす奥さまが欲しかったものとは何なのでしょうか。「育児は辛いもの」「子どもが可愛いと思えない」奥さまたちの悲痛な叫びを受け止めてくれる人がいないのです。

このままでは、日本は「家族が幸せになれない国」になってしまいます。

私は、今こそ結婚観を変えるときだと確信しています。経済や環境に振り回されない、強いふたりの結びつきをつくる新しい結婚の幸せを作るビックチャンス到来!と思っています。

夫婦関係で悩まれている方、これから結婚をする方々の不安を少しでも解消できればという思いでこの冊子を書き始めました。ここに書いた「小さな幸せがあふれる夫婦になる法則」は一つの「型」に過ぎません。もしかしたら、この法則を窮屈に感じる人もいるでしょう。幸せの形は本当に人それぞれですから、その型がそのひとの望む幸せとは違うかもしれません。

ですが、ひとつひとつの型は幸せを感じる心作りの作法であり意味のあるものです。まずは取り組んでみて欲しいのです。続けることで、あるとき突然「相手のために頑張るとはそういうことなのか!」と分かるときが来るでしょう。その瞬間に型にとらわれないあなただけのやり方が見つかるはずです。Aさんのように、自分らしく夫婦の小さな幸せを見つける方法にたどり着くのです。

ひとつ注意していただきたいことがあります。それは、がんばりすぎない、無理しないということです。一刻も早く不幸せから抜け出したいという思いから「会話しなきゃ!伝えなきゃ!」と焦って必死に行動しようとしてしまうと、先ほどお伝えした「型」を「型通り」にやっているだけで、「型」の持つ本当の意味を考えられなくなってしまいます。

でも、不安が心でいっぱいになっていると気ばかりが焦ってしまうのも事実です。そういうときは恐れずに人に助けを求めてください。

「困った時に『助けて!』といえるのが、本当の自立です。」

NPO法人日本結婚教育協会の棚橋美枝子氏は、結婚教育の中で「SOSを出せる」ことの重要性を述べています。自立といえば、自分で何でも解決すると考えがちですが、人はひとりで生きていくようには作られていません。苦しい時に人に助けを求めることができるのも、豊かな人生を生きるための重要なライフスキル(幸福な生活をするための能力)なのです。

私の知り得た「小さな幸せがあふれる夫婦」になるための知識は、これからも皆さんとどんどん分かち合っていきたいと思っています。もしご興味があれば、この冊子の中でお話しした男性と女性の考え方の違いを学ぶためのコンテンツ「夫の本音を知る動画」もご用意しています。

3時間以上の動画で結婚における男性の考え方、そして女性が見落としがちな小さな幸せを見つけるための作業についてお伝えしています。この冊子を読んで少しでも感じるところがありましたら、ぜひ試していただきたいと思います。スマホでもご覧いただけますから、子育てや仕事の忙しい合間を縫って学ぶこともできるようになっています。

直接お話しできる場(夫婦相談)も提供させていただいています。夫婦関係で不安なとき、ひとりでがんばるのは本当に辛いものです。両手いっぱいに悩みを持ってひとり歩くのはしんどいものです。そんな辛い状況でも、一歩を踏み出したい、応援してほしい!と頑張っているあなたの思いを全力で受け止める存在がいます。全部ひとりで持たなくてもいいのです。ひとつくらい持たせてください(^^)。

少々濃い顔の明るいおっさんですが、カウンセリングを受けられた方からは「こんな暗い内容なのに、とても楽しかったです。」と言ってもらうこともあります。楽しいカウンセラーがいいなぁと思われる方は是非ご相談ください。心よりお待ちしております。

長い文書を最後までお読みいただきまして本当にありがとうございました。結婚生活で悩まれている方向けにと書き出したにも関わらず、気づいたら私自身もあらためて夫婦について考える素晴らしい機会となっていました。夫婦の幸せとは何なのか、どこにあるかを文字にすることによって、私たち夫婦がこれから先も幸せでいられるという自信にもつながったと思います。

夫婦で悩まれている人だけでなく、これから夫婦になるひと、結婚するかどうか迷っている人、夫婦仲良いけれど、もっと素敵な関係になりたい人、多くの結婚に携わる方に「小さな幸せがあふれる結婚」ってちょっと楽しいかも?と思ってもらえたら、すご~~~く嬉しいです。そうなるといいなぁと思っています。周りに結婚で悩んでいる人や、不安に感じる人がいたらぜひこのweb冊子をご紹介していただければとおもいます。

この冊子に対してご質問やご感想などありましたら、smallhappiness@fufuzukan.comまでお気軽にメールください。直接お返しできないこともあるかもしれませんが、しっかり拝見させていただきます。

あらためて結婚を考えるだけでも、あなたの人生は豊かになります。行動しはじめたら、もっとワクワクするでしょう。それは間違いありません。結婚についての学びは人生を豊かにしてくれます。

あなたの周りに小さな幸せがあふれたら、あなたの周りの大切な人や子どもたちに「結婚」について考えることの素晴らしさを伝えて欲しいのです。それが私の願いです。

結婚するのも、しないのも、離婚することも、幸せになることも、あなたが選んでいい。自分の人生に責任を持つために、学んで、行動する。

あなたの人生は、誰のものでもありません。あなたのものなのです!!!

著者 下木修一郎(しもきしゅういちろう)

下木修一郎

下木修一郎(しもきしゅういちろう)
夫の気持ちを知る男性夫婦カウンセラー。5,000人を超える夫との関係に苦しむ妻たちの悩みを聞き解決へと導く。テレビやwebメディアでの出演実績多数。自身の再婚をきっかけに夫婦はどうすれば幸せになれるのかを考え、夫婦カウンセラーという仕事を選ぶ。男性の気持ちを楽しく分かりやすく伝える夫婦問題のカウンセリング、セミナーなどを行なっている。女性必見の『動画でわかる夫のホンネ』も公開中。

参考文献

  • アンナ・カレーニナ〈上〉 (トルストイ 、中村 融 訳 岩波文庫)
  • 「普通がいい」という病 (泉谷閑示 講談社現代新書)

多くの女性から共感を頂いている、男性の気持ちが分かる動画講座。夫婦再生カウンセラー下木修一郎の5,000人のカウンセリングから分かった男性特有の考え方や本音を3時間を超える動画で分かりやすくお伝えしています。相手の気持ちを理解1週間であなたの意識が劇的に変わる「小さな幸せを見つける方法」も具体的にご紹介しています。

夫のホンネを知ったらしあわせ夫婦になった 夫婦再生カウンセリング

夫婦間におけるさまざまな悩み。その多くはパートナーの行動や気持ちが理解できないことから起きています。あなたの悩みを直接伺い、男性カウンセラーだから分かる「夫」の本音を分かりやすくお伝えし、一緒に問題解決に向けて具体的な行動のアドバイスをおこなっていきます。あなたの周りにある小さな幸せを一緒に探しましょう。きっとたくさん見つかります!

そのほかにも男性専用の夫婦カウンセリングや、セミナー等もおこなっています。
詳しくは夫婦図鑑ホームページ(https://fufuzukan.com)をご覧ください。

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