あ、当たった…。

答えを知っていたわけではない。1/3の確率で当てただけだ。

それにしても、45才で60%も流産する確率だなんて知らなかった。

64.6%…そんなにも流産する確率が高くなるのか。

「そうだ、彩の年齢30才の流産率は!?」

そうか…

俺は今まで出産はうまくいくものだと思っていた。

俺の親だって出産しているわけだし、子どもを産むことは大昔から人間がやってきたこと。

だから妊娠している彩に対してもきっと大丈夫だと思い込んでいた。

流産した話なんて、周りから聞いたこともない。

だから、子どもが産まれてくることは当たり前だと思っていた。

でも自分が流産したなんて経験を積極的にする人なんて居ないだろう。

俺は妊娠について、何も知らないんだ。

そうかもしれない。

仕事でも、自分に対して関心のない人から助言されても受け取れないものだ。

妊娠について、俺も知る必要があるんだ。

「えっ!?」

な…なんだって?!

「そんなことはない!俺は彩を愛している!」

夫ドリルはそう言うと、目の前に先ほどの彩との会話を映し出した。

質問:「初めての妊娠の不安って具体的にはどういうことなのか説明してくれる?」

「具体的に?えーと、私は…やっぱり赤ちゃんが無事産まれるかどうかかな。」

返事:「なんだ!そんな心配だったのか!」

「えっ?」

「彩は大きな病気もしたことないし、体も丈夫だよね。年齢もまだ30歳。最近40代で出産した芸能人の話もネットでみたし、職場の人の奥さんも35歳で2人目を産んだって話も聞いた。だから心配しなくても彩なら大丈夫だよ!心配しすぎると体に良くないだろう?そうだ、いい病院をレビューで探して、信頼できるお医者さんに診てもらえればいいよ。俺も調べるし。だから安心して!」

「・・・そうだね、拓也がいるものね」

さっきのシーンの再現が見られるのか!

便利だな夫ドリル。

しかし、これのどこが彩に対して無関心だというんだ!?

夫ドリルの指摘に少し苛立ったが、感情的になっても仕方がない。

論理的にその理由を解明すべく、俺はパソコンにある図を描き始めた。

「これを図で描くとこんな感じだな」

俺はささっと図にした。

「流産の確率など、実際のデータをもっていなかったことは大きな問題だった。でも、正しいデータを使えば問題はないはずだ。彩のことを心配しての会話になってるじゃないか。」

「ふん。で、いったいどこが問題なんだ?」

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