第4話 つわり【後編】
原作:夫婦カウンセラー 下木修一郎
監修:弁護士 森上未紗(愛知県弁護士会所属)
作画:ChatGPT
私のことを疑っていますね。
いいですね!!
ワクワクしますヨォォ!!!
あ、思考も読まれるんだった・・・・なんか怖えなぁぁ。
では、共感的態度をマスターする方法をお伝えしましょう。
あなたは彩さんが仕事をしている場面を見たことはありますか?
「いや、無い。別の会社だからな。だから彩が会社でどんな一日を過ごしているのか、具体的には知らない。」
夫婦でも、パートナーの頑張っている姿を見たこと無い人は多いでしょう。
ですが、彩さんの仕事の内容や、妊娠初期の体調のことを考えれば、彼女の一日がどんなものだったか、ある程度想像できるはず。
仕事ができるあなたは、きっと優れた想像力の持ち主でしょうから。
仕事ができる人間…そう言われるとやるしかないな。
俺の事よく分かってるぜ夫ドリル!
うーん。。。
「彩は広告代理店で働いていて、今はつわりもあるんだ。きっと大変な毎日を送っているんだろうな。」
やれやれ。
その程度の想像力ですか。先が思いやられます。
くっ!今からちゃんと考えるんだよ!
えーーーーっと・・・・
「うーん、朝からつわりで気分が悪かったかもしれない。」
「昼食も思うように食べられなかったんじゃないかな。」
「そんな状態で、クライアントとの打ち合わせがあったかもしれない。」
素晴らしい想像力です。
このように相手の状況を想像することが、共感的態度の基本となります。
「素晴らしい想像力…はははっ、当然だ。」
そう言いながら、自分の中に何か温かい気持ちを感じていた。
今、彩さんに思うことはありますか?
「・・・体がしんどいのに、よく頑張ってるよな、彩。」
相手を想像して感じる。
それが共感的態度の基本となります。
想像すること。
今まで相手のことを想像して話をしたことなんてあったかな・・・
・・・無いな。
かなりの確率で、自分のスタンスで話していたように思う。
想像力を使わないと、相手の頑張りも「自分の基準」に置き換えてしまうものです。
俺ならこう感じる、俺ならこうすると自分の枠組みで考えていた。
なんで俺のように考えられないんだ!?とさえ思ってた。
そうか、相手を想像していなかったからなのか。
相手と同じように感じことができなくてもいいのです。
相手のことを想像する。
それだけです。
おっ。
彩さんが仕事から帰ってきたようです。
彩が帰ってきたみたいだ。
今日は休日出勤になったんだよな…。
「ただいま...」
「おかえり、彩。今日は大変だったろ、がんばったね。」
彩の一日を想像したら、思わず言葉が出てきた。
これが・・・共感的態度か!?
これでいいのか?
「え、うん...ちょっと疲れたわ。」
彩が帰ってきて「疲れた」なんて言う言葉を聞いたことなかったように思う。
今まで俺は、彩の言葉を鵜呑みにしていたのかもしれない。
「ちょっと休んできたら。」
「うん・・・ありがとう。ちょっと横になるね。」
そう言って彩は部屋に戻った。
頑張ってる彩のためになにか・・・そうだ!
俺はキッチンであるものを探した。
「あった!」
「ネットで見た、つわりに効く生姜料理を作ろう!!」
「彩、待ってろ!!俺は最高の夫になるぜ!!」
「ごめん...その匂い、ちょっと...」
やあ、最高の夫さん!
「夫ドリル、彩が生姜がダメだって知ってたんじゃないのか!?」
え?
「え?」
生姜はさておき、ここで問題です。
今回、あなたが見逃していた行為とは何でしょうか?
「話すことだ」
ピンポーン!
選択肢が全部出る前に答えるとは・・・
まるでクイズ王ですな!
クイズ王…
「彩のためにと、勝手に一人で考えて行動してしまった。すぐに問題解決するのと同じだ。」
ふむ。
自分の考え方の癖を知ることはとても意味のあることです。
考え方の癖を知る。
そうだな、今まで自分がそんな癖を持っているとも思わなかったからな。
自分の考え方の癖か・・・
共感的態度を持ち、自分で考えて行動するのは素晴らしかったですよ。
「・・・ありがとう。よし、次はちゃんと彩と話をする。生姜がダメだなんて、聞かなきゃ分からないものな。」
生姜のせいでは・・・
失敗は成長の機会です。
料理で彩さんの気分は最悪になりましたが、彩さんはとても優しい方です。
きっとあなたのがんばりは伝わっているでしょう。
「そうだな!よし、がんばるぜ!」
「次こそはつわりに効く料理を!」
まずは片付けからね・・・