「ありのままを受け入れる・・・って、なんか抵抗があるけれど…」

「時間を作らないと休息は取れないだろう?」

「時間の長さじゃない?」

俺はハッとした。

そうだ、仕事でも同じじゃないか。

大切なのは、質。

だったら、時間も長さではない…

「お互い時間を取って、2時間ゆっくりできた方がいいに決まってる。でも...」

「でも、2時間という長さに縛られるのも、なんだか違うと思うんだ。」

「たとえ短い時間でも、心が通じ合える瞬間を...大切にする、とか」

でも、どうしたら質の高い時間になるのか。

下手くそ・・・!?

ああ、そうだ。

俺は下手くそだ。

上手にやろうとしてもできない。

だったら…

仕事と同じ。

経験がない以上、やるしかない。

「え?でも、まだどう言えばいいか・・・」

俺はキッチンに向かった。

逃げそうな気持ちを勢いで封じ込めるように。

「彩...ちょっといいかな」

「え?うん…。」

「何か気づいたっていうか、その・・・考えてたことがあって。今の俺たち、ゆっくりする時間なんてとれない・・・よね」

彩は少し俯いた。

「そうね...」

「でも、それを何とかしようとすると、かえって疲れちゃうのかなって。だから…これは考えただけ?なんだけど…」

俺はしどろもどろになりながらも、言葉を続けた。

「もしかしたら、長い時間じゃなくても、短くても…ちゃんとお互いの気持ちが通じ合える時間があれば、それも大切な休息になるんじゃないかなって。」

彩は…少し驚いた表情をしていた。

そして…

「私も...そう思う。」

「え?」

思わず驚いて声が出てしまった。

「長い時間が取れないことに罪悪感があって...でも、たまに拓也と目が合って微笑み合えた瞬間とか、ほっとするの。」

「そうだったんだ...」

「うん。今みたいに、お互いの気持ちを話せる時間って、私にとってすごく大切なんだなって」

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