介護をしている人をほめる人がいない

寝起きが辛そうなのでとりあえずベッドを借りたのだが、掃除はもちろん母の仕事だ。
下木:父が週に2度ほど介護施設に行っているので、その間に母は友達と遊んでストレスを発散しているみたいですが、それでも母のイライラはなくなりません。
桃沢:お母様はどこかでお父様をなくす不安と戦っているのだと思います。お母様をどう癒すかがポイントになりますね。
介護施設の回数をもっと増やす。そして、お母さんを徹底的に褒めていく。お母さんが介護を一生懸命やっていることは誰も認めてくれないので。
いろいろ言いながらも頑張っているお母様をちゃんと認めてあげる人が必要なのです。
下木:なるほど…確かに母は頑張っている。でも母の愚痴を聞く妻もイライラしてるから褒めるなんてとてもとても。
桃沢:奥さんにも娘としての承認欲求がありますものね。母親を褒めるのは難しいでしょう。
そうなると、うまく立ち回れる立場にいるのは旦那さんしかいないと言うことになってしまう。
下木さんごめんなさいね。でも、この家を救えるのは下木さんしかいないと言うことです(笑)。
それにお母様も異性から褒められたほうが嬉しいはずですし。
下木:(私しかいない!?)でも、身内ってなるとすごい難しいよね。血のつながっていない家族なのにイライラしている自分がいる。
桃沢:そうですね。感情のコントロールが難しいのは、やはり家族だからですね。
下木:旦那さんが家族のキーマンになる。でも、妻と母がガンガンやりやっているところを見たら、そう簡単に踏み込めない。とってもしんどいなぁ。
桃沢:分ります。私は仕事でやっているから頑張れますけれども、それでも30分やっただけでもすごく疲れる家庭もあります。
下木:他人でもそこまで疲れるんだもんね。
桃沢:だからこそ他人に任せられるところは徹底的に他人に任せる。どんどん任せる。1日中ずっと介護をしていると、本当に自分が病んでしまう。
下木:介護疲れで鬱のような状態に家族がなってしまう家庭というのは、やはり多い?
桃沢:とても多いように思います。負が負を呼ぶような感じがします。
下木:他人ですら大変なことを、身内がやるのは本当に大変なことなんだ。
桃沢:使えるものは何でも使ってもらえればいいと思います。ヘルパーさんの悪口を言う、でもいい(笑)。
「あのヘルパーさんを本当にできない人ねー」と言うお母様の愚痴を聞いて、「そうなんだーひどいねーヘルパーさん」とお母様を肯定してあげる。
結果的に家族にコミニケーションが増えれば良いのです。
下木:敵の敵は味方か。
桃沢:もちろんご家族には上手に振る舞って頂く必要があります。「うちの母が悪口いますけれどもそれはあえて言わせているのですみません」と言っておけば、きっとヘルパーさんも理解してくれます。するとヘルパーさんも頑張るし、お母様も楽になる。
ヘルパーさんだって、分かってもらえる人がいたら頑張れる。誰か1人が分かってくれればいいのです。
下木:なるほど。母とヘルパーさん、どちらも上手に扱うのか。
桃沢:お母様のわがままにあえて振り回されてあげる。それが賢いスタンスです。全てを肯定しまくってください(笑)
下木:私の踏ん張りどころ(笑)
桃沢:お母様は自分の配偶者が少しずつ死に近づいていると言う恐怖を感じていらっしゃるはずです。その不安を理解してあげると、肯定しやすくなるかもしれませんね。
気持ちよく振り回されてあげると言うスタンスが持てれば、大抵のことは大丈夫になります。もちろん、カチンとくることもありますけどね(笑)
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