夫婦に目標設定は必要か?
素敵な夫婦になるため、ふたりで目標を決めて進んでいきたい!
そう考える人もいるかもしれません。
極めて個人的な感覚なのですが、私は夫婦に目標設定は不要だと思っています。
私が6000人のカウンセリングをしてきている中で、目標設定が夫婦関係に与える効果が懐疑的だと感じています。
もちろん、具体的な目標を定めることが決して悪いわけではありません。例えば、夫婦ふたりで同じビジネスをしているケースでは目標設定は必要になるでしょう。
ですが、「夫婦」の目標設定となると、それが相手を縛り付けることや、達成できないことによる不満やストレスを生むというネガティブな要因が夫婦関係に悪影響を与えることが多くなる印象です。
この記事で実際のシーンを交えて目標設定の難しさを私なりの解釈でお伝えします。
結論からいえば、
「目標の達成」よりも「関係性」を大切にする夫婦にとっては、目標設定は必ずしも必要ではないと考えています。
ですが、どうしても目標設定をしなければならないケースも出てきます。そういうとき、どのような形で対応していくことが夫婦にとってプラスに働くのか、実際のケースを交えて考えてみましたのでご覧ください。
そして・・・ここまで目標設定は不要だ〜不要だ〜と言ってきましたが、実は夫婦にとって重要な目標設定が存在します。
特に夫婦仲が悪い状態の方の参考になる話ですので、夫に振り回されて苦しい!という人は最後までぜひお読みください。
(夫婦仲が良いひとは、もっと仲良くなるよ)
夫婦の目標設定は難しい
夫婦の目標を考えてみましょう。
「年を取ったとき手を繋いで歩くような素敵な夫婦になりたい。」
という目標をある妻が考えました。
確かに、これは夫婦の目標といえますね。夫とふたりで夫婦として歩く。聞くとほっこりする、とても素敵な目標ですね。
いいじゃないですか!
と言いたいのですが、少し具体的に考え始めると急に雲行きが怪しくなってきます。
その妻が手をとり歩く老夫婦になる夢を叶えるため
「年をとっても二人で仲良くするためには安心が必要だよね。だから今から老後の資金を月5万円貯金しようよ。」
と夫に提案したのです。
将来を安心して生活することが二人が仲良くいられるために重要と考える妻にとって、この目標設定は必須の条件だったのです。
まだまだ物価は上がるかもしれないし、仕事もどうなるか分からない。老後の資金は2000万円なんかじゃ足りないよ!と。
しかし、その提案を聞いた夫は
(お金を切り詰めた生活を今から30年も続けるなんてしんどすぎる…)
と不安になり、この人と一緒に生活できるのだろうかと考えるようになってしまいました。
極端に感じるかもしれませんが、これは実際にあったケースです。
この話から分かることは、目標設定に大切なのは、目標そのものではなく、お互いに目標を作り上げる「ステップ」であるということ。
お互いが自分の気持ちを素直に語り合える、そして柔軟に対応できる関係性を築くことが目標よりも遥かに重要だと私は考えたのです。
しかし、残念ながらそのステップとやらが難しい。めちゃくちゃ難しい。超弩級の難易度。
なんせ、夫と妻は違う生き物。正解/不正解、快/不快が全然違う。
会社のように利益とか効率とか、お客様の満足度なんていう共通の物差しが、夫婦には存在しない。
ずっと笑顔でいたい、という目標を達成する方法なんて様々。何をすれば良いのかなんて経験もないのに分かるわけがない。
なのに、いきなり「こうしたい!」と提案されてしまったら、なんて身勝手な!と思い、前向きな話し合いもままならなくなってしまいます。。。
経験がない初めてのことでも、期限を迎えてしまい、目標を合意してしまうことはよくあることではないでしょうか。
例えば次のケース、これも実際にあった例です。
妻が子どもの私立中学受験を強く希望していました。
妻は自分も私立であり、親にそのように育ててもらったことに感謝してたこともあり、自分も子どもには同じような幸せを与えたいと考えたのです。
対して、夫は公立の中学校で学びました。友達もたくさんできたし、たくさん遊んだ良い思い出もあり、公立へ行ったことに何の不満ありません。
そんな二人の間の子どもが10才になり、進学先をどうするのか決める時期を迎えました。
その結果は…強い想いを持っている妻の考えに沿った「私立への進学」で決まりました。
私立じゃなくても良いのでは?と夫は思ってはいたものの、君がそこまで言うならと妻の提案を受け入れた形です。
ところが、夫は自分が強く望んでいた提案ではないこともあり、子どものイベントよりも仕事を優先するなど、積極的とはいえない姿勢を何度か繰り返してしまいます。
そんな夫の態度をみて、妻には大きな不満を持ちます。そして、こう言うのです。
「ちゃんとふたりで話し合って決めたよね?」
その通り。これは二人で決めたこと。
ですが、夫としては
(いや、君がどうしても私立に入れたいと言うから賛成したし、これから高い学費も払うのに、なんでそんな言い方をされなきゃいけないんだよ)
と言いたい…でも、やっぱり言えません。確かに話し合って決めたからです。
ですが、夫の心のモヤモヤはどんどんどんどん大きくなります。
どこにも吐き出すことはできない夫は、結局行動を変えることができません。そしてそれを見た妻もまた同じく・・・そういうことを繰り返していく結果は・・・なんとなく想像できますね。
子どもを私立に入れることは、子どもの将来を一所懸命に考えた親、という視点からすればなんら間違ってはいない。それは夫も分かっている。
でも・・・自分の仕事を犠牲にしてまで(子どものためなのに「犠牲」だなんて!と思う方もいるでしょう)過剰とも思える支援が必要なのか?!本当に子どものためなのか!?というモヤモヤした思いを拭い去ることはできなかった。
気持ちを素直に言えるような夫婦の関係性を作れなかったのです。そのひとつに、言っても無駄、自分は子どもよりも優先されない、という感情もあったようです。
そのような事が繰り返された挙げ句、突然夫は家を出ていくと言い出します。
「いつも子どもばかり優先しているじゃないか!」
という言葉が夫から出てきたのは、離婚宣言の後でした。
夫婦や家族のような、共通の目標をもちにくい共同体の目標設定は極めて難しいことが分かります。
夫婦の目標達成のために必要な2つの考え方
ですが、目標設定がうまくいくケースもあります。
それは「まったく新しい価値観」を作るとき。
例えば・・・夫婦がお互いにあまり興味のないことなど。
お金に興味のない夫婦同士が、子どもが産まれ、考えなくてはいけなくなった。さてどうしよう?というときに、ファイナンシャルプランナーの助言を受けたとしましょう。
お互い知識がほぼない状態でのファイナンシャルプランナーの客観的なアドバイスは、思い込みもなく、ゼロから学ぶ二人にとっては新しい価値観。
客観性と、思い込みがない、というところが目標設定するポイントだと思います。
では、先程のように片方の想いが強い場合はどうすればよいのでしょうか?
ひとつの回答を考えてみました。
ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』のなかで、二人が夫婦の「共同経営者」という言い方をしているシーンをご存知でしょうか。
共同経営者とう言葉には、あなたも私も、ちゃんと<責任>をもって夫婦というプロジェクトに対して向き合っていましょう。という意味合いが含まれていると思います。
「共同経営者」という考え方、とても面白いですよね。
この考えを用いてみると、目標達成に対してこのように考えることができるかもしれません。
「夫婦で決めたことでしょ?」という言葉が先ほどありましたが、この言葉には「あなたも決めたよね?」という責任を追求する意味合いが含まれています。
「あなたにも責任があるのよ!」
でも考えてみてください。追求している側も「経営者」です。
経営者のお仕事は、もうひとりの経営者の責任を追求することではありません。
この目標がどうすればうまくいくか、を考える人なのです。
(追求するだけの経営者って、部下からは不人気ですよね。不人気な経営者にはなりたくないよね)
この目標を達成するために責任者として、自分の想いに賛同してもらえたもう一人の経営者に望ましい行動をとること。
そして、二人の責任者の間で頑張っている子どもを評価することが経営者として求められることだと感じます。
夫婦の目標設定をうまく働かせるためのひとつの方法として考えてみました。
悪くない視点だと思いますが、あなたはどう感じましたか???
夫婦仲改善のために目標設定をすると…
次は、夫婦仲が悪い夫婦にとっての目標設定を考えてみます。
普通の夫婦でも難しいのに、夫婦仲が悪ければ、一緒に目標設定をすることはさらに困難を極めることは容易に想像ができます。
しかし、夫婦仲を改善しなければ、ずっとこのままになってしまう!!!
そう考えて
「夫婦仲を改善していこうよ」
と夫に勇気をだして問いかける奥様もいらっしゃいます。
でも、ほどんどの場合、その提案は却下されます。
俺はがんばってる!なのに俺のせいなのか!俺が悪いのか!とキレる夫は、妻からコントロールされるように感じて反発しているのでしょう。
そんな夫を見て、あの人は夫婦関係を良くしようとは思っていないんだ・・・私のことが大切じゃないんだ・・・夫婦のために提案しているのに。と、ぜんぜん前向きではなくてショックを受けることになります。
夫婦でちゃんと話すこともできないのに、目標設定なんて無理。
でも、そういう関係の人にこそ、してもらいたい目標設定があるのです。
それは、夫婦関係ではなく、個人の目標設定です。
個人の目標設定とは自分の軸を持つこと
いきなりですが・・・
あなたの夫が離婚宣告してきたとしましょう。
あなたは、簡単に諦めますか?
諦めませんよね。ですが、、、
心はすごく挫けそうです。
泣きます。
苦しみます。
何が悪いのか。
どうしたらいいのか。
たくさんたくさん、考えます。
そして、得てして相手に振り回されることになります。
相手が何を考えているのか、相手が何を望んでいるのか、相手が、相手があいてがあいてがアイテガアイテエエガアアアアア
となります。
自分の人生の主導権を相手に奪われます。正確には、奪われたのではなく、渡してしまった状態になります。
自分で自分の人生のハンドルを握れなくなってしまった・・・
さあ、どうしますか?
そうなのです、まずは自分でハンドルを持たねばなりません。
そう、そのハンドルこそが、目標設定。
自分がどこに進むかを、自分で考える。
これが夫婦再生にとってものすごく重要になるのです。
夫婦再生をするときの目標設定
「でも、どうしていいか分からないのに目標設定なんかできない」
と思っていませんか?
どうしていいか分からない、というのは、どうしたらもう一度夫が愛してくれるか分からない、という意味ではありませんか?
実はこれ、無意識に「夫をどうにかしたい」と相手をコントロールする発想なのです。
夫から離婚を言われた、浮気されたなどの場合、どうにかしてもう一度みてもらおうとして、相手の顔をこっちに向けようと必死に努力します。
イメージは、頭を掴んで回そうとしてる感じ。
残念ながら人はコントロールできません。無理なのです。
でも、それをしたくなるのが、人間。
できないと分かっていても、やりたくなるのですよねえええ・・・・。
夫婦を再生するとき、カウンセリングで私がよく言う言葉があります。それは
「旦那なんかどうでもいいんです」
それを聞くと、皆さん驚かれます。
でも本当に、相手のことは二の次、いや、三の次?でいい。旦那のことを構っている場合ではないのです。自分自身がどこに進むかもわからなくなって冷静さを欠いている人が、夫の気持ちを深く理解しようとしてもこころここにあらず、になるのです。
ですから、まずは自分の人生のハンドルを握ってもらいます。
自分がなすべきことを、淡々と、でも確実に行っていくのです。
間違っても、相手にハンドルを握らせない。相手に振り回されない。自分の軸を持つ。自分の進むべき道を、見つける。
そのために必要なのが、目標設定なのです。
長く続く夫婦関係と目標設定
夫婦問題に長く携わって感じたのは、夫婦関係が将来的にもうまくいくためには大事なポイントが2つあるということでした。
それは・・・
1)相手に関心を持つ
2)魅力的である
このふたつのどちらかが欠けても、夫婦関係はうまくいかなくなります。
1の「関心」については他の記事でさんざんお伝えしてきているので割愛します。
2の「魅力的」とはどういうことでしょうか。
私がここで言う自分が魅力的であるとは「自分のことが好き」な人を指します。
「私、自分が嫌い」って言っている人を魅力的だと感じる人は、あまりいませんね。
(そんな人を助けたいとは思うかもしれないが、それは自分の承認欲求を満たしたいだけじゃー)
自分のことが好きとは・・・これもひとそれぞれではあるけれど、なりたい自分と今の自分が同じ、なりたい自分に近づいている状態、そして毎日頑張っている、というイメージで捉えてください。
なぜこの2つが長く続く夫婦関係に重要かというと、もし自分だったら、という視点で考えてみれば分かります。
「自分に関心をもってくれる、とても魅力的な人」
↑こういう人との結婚生活であれば、長く続けたいですよね。
ちなみに、片方が欠けたらどうなるでしょう。
・魅力的だけど、私には関心がないんです・・・という人がパートナーだと、たとえ結婚していたとしても、とっても淋しいでしょう。
・私にはすごい関心あるんですけど、あの人、自分の人生は何も考えないんです・・・という人がパートナーだと、相手の人生まで背負い込まなければなりません。
関心と魅力は、夫婦関係においてとてつもなく重要なテーマ。そのひとつである「魅力」を考えたとき、目標設定は欠かせない要素なのです。
なりたい自分を設定し、それに近づくために、日々近づいていく。
自己実現、成長を実感する。
いきいき、前向き。
自分のことが好きだ、と言える状態を作り出す。
それには、目標設定が必要なのです。
おすすめの目標設定とは
あなたがどんな目標設定をすれば、自分のことが好きになるのかは、私には残念ながら分かりません。
でも、ひとつおすすめの目標設定があります。
それは、夫婦関係以外で叶えたいと思っている目標を持つことです。正確には、思い出すこと。
仕事でもいいし、資格でも、趣味でも、叶えたい夢でも、なんでもいいのです。
特に働いている人は仕事において、小さな目標設定を持つことから始めるのはおすすめです。すぐに変化がおき、実感として現れるからです。
実感できるってことは、とっても大切。
実感は、成長へのモチベーションです。
夫との関係でどん底真っ暗の中にいると、生きている実感も、価値も感じられなくなります。
でも、あなたは今ここに、生きている。
だから、日々の生活の中で、生きていることを実感して欲しいのです。
あなたが笑顔でいてくれること嬉しいと感じる人は、必ずいるのです。
人生、夫だけじゃない。まじで。
ただし、子どもの目標設定を自分の目標にするのはおすすめしません。目標設定とは「自己成長」につながるものである必要があるからです。
もしどうしても子どもの目標設定を応援することに重きを置きたいのであれば、私は◯◯をする、と自分を主語にした形の目標設定を持つといいでしょう。子どもが目標達成をしたときに、自分の◯◯が成長できてた!という実感が持てるようになればいいのです。
自分の成長を感じると、それは積み重なり、自信へとつながります。
夫の一挙手一投足に振り回されてしんどい思いをする自分から抜け出して、自分はやるべきことをやる。
これが感覚として掴めたとき、自分のなかに自分で自分のハンドルを握る「覚悟」が作られていきます。
後悔のない選択のために、自分の人生を、自分で気持ちよく運転しましょう。ブオオオン!!
結婚も離婚もあなたが決める
相手に関心を持って、しかも自分自身が目標に向かってがんばっている。
それでも夫が「俺無理、離婚しよう」と宣言したとしたら、あなたはどう感じるでしょうか。
自分が頑張ってきたことは無駄だった、と思うでしょうか。
これは実際にそうなってみなければ分からないことかもしれません。
ただ、夫に愛されるために頑張ってきたのに!という虚しい感情にはならないかもしれません。
だって、あなたは自分を魅力的にするために、頑張ってきたのですから。
そのとき、離婚するかどうかを決めるのは、あなたです。
あなたがあなたの人生のハンドルを握っているのですから。
離婚してもいい、とハンドルを切る。
いやいや、わたしは諦めません、とアクセルを踏んでもいい。
その時のあなたは、今まで生きてきたなかで一番魅力的なあなた。
だから、自分の選択に、自信を持って突き進んでいけばいいのです。その選択が、ベストなのです。
夫に離婚宣告をされ、不倫され、夫婦の不仲で相手に振り回されて、苦しみ、絶望する。
そんな人生を一生続けなくてもいいのですよ。
すべては、あなたが選択すればいい。あなたの人生なのだから。
そのために、後悔をしない選択をしましょう。
「自分のことが好きな自分」が選んだ人生ならば、それは幸せへのいちばんの近道なのですから。
執筆 夫婦再生カウンセリング名古屋 主宰 下木修一郎(しもきしゅういちろう)
夫の気持ちを知る!夫の気持ち研究家
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