介護のプロに聞いた「親の介護で知っておくべき たったひとつのこと」

夫婦再生カウンセラーの下木修一郎です。

我が家にも、ついに介護の波が押し寄せてきました。

「いったいどうすりゃいいんだ・・・」

妻と二人で途方に暮れるなか、同じ夫婦カウンセラーで訪問介護士でもある桃沢勢子さんにお話を聞くことができました。

介護の現場にいるプロから、たくさんのヒントを頂くことができたのです。

私たち夫婦も気持ちがほんとうに、ほんとうに楽になりました。

正直「助かった!」という印象です。

少し記事が長いのですが、この記事でいま大変な思いをされている方、そしてこれからの介護で不安に思われている方の心が少しでも楽になれば幸いです。

妻の実家の現状

義両親は2人暮らし。義母(以降母)は元気だが、義父(以降父)の足腰が悪くなってきた。耳が遠く、認知症の疑いもある。 母は父に対して「もっとしっかりして!」と言うような発言で責めることも多くなってきた。 家の中がキリキリしており、私たち夫婦がふたりにどう接していいか分からない状況だ。

「病気を受け入れられない家族」が問題を大きくする

下木修一郎(以下、下木):桃沢さん、今日はよろしくお願いします!では、桃沢さんのキャリアをお聞かせください。

桃沢勢子さん(以下、桃沢):夫婦カウンセラーであり、訪問介護員でもあります。5年目です。老人だけではなく障がい者、産後ヘルプなど様々な方の介護を行っています。

下木:実は、初めての介護が始まりまして。正直何から手を付けていいのか全くわからないのです。

桃沢:お父様は足がお悪いとのことですが、何か対策をしていらっしゃいますか?

下木:介護保険住宅改修費を利用して、家中に手すりをつける見積もりを行っています。

桃沢:足腰というのはどんどん弱っていきます。食い止める事はできませんが、老いをスローにすることはできます。

1番いいのはリハビリ専用施設ですが、他にもデイサービスのリハビリや、訪問介護員に散歩に連れて行ってもらうなどのサービスがありますね。

下木:リハビリに関しては父が認知症の影響もあり、自分から積極的にやりたがろうとはしません。出歩かない父に「散歩でも行けばいいのに!」と母が家でイライラしています。

桃沢:自分の経験から思うに「病気を受け入れられない家族」が問題を大きくしますね。現実を認められないんです。

病気になった人いるということは、新しい暮らしが始まったということ。ところが、今までの暮らしを継続しようとしてしまう。そういう親に対して娘も戦ってしまう。介護問題が家族同士の戦いに発展してしまうのです。

下木:戦いですか。

桃沢:本人は既に病気であったり認知症が進んでいるので、本来のその人では無い。しかし、本来のその人だと思って、妻や家族は苦しむのです。

「そうじゃないでしょ!なんでそんなことするの!」とつい口走ってしまう。

きっちりした人であればあるほど現実を受け入れられないことが怒りとなって出てくる。ケアが必要なのは、実は配偶者である奥様の方なのです。

下木:確かに母のイライラがスゴイです。

桃沢:介護員の前でも大声で罵り合う家族もあります。言葉には怒りが乗っかっている。それを受ける病人は、さらに調子が悪くなってしまう。

下木:母が「私が死にたいわ!」と嘆く。でも少しすると「この人が死んでしまうと寂しくなる」なんてことも言う。母の声を聞いている時がいちばん辛い。

桃沢:ご高齢の方は優しくされてきた経験の方が少ない。親から優しい言葉をかけられるような経験をされていないので、相手に優しい言葉をかけることも難しいようです。

介護をしている人をほめる人がいない

寝起きが辛そうなのでとりあえずベッドを借りたのだが、掃除はもちろん母の仕事だ。

下木:父が週に2度ほど介護施設に行っているので、その間に母は友達と遊んでストレスを発散しているみたいですが、それでも母のイライラはなくなりません。

桃沢:お母様はどこかでお父様をなくす不安と戦っているのだと思います。お母様をどう癒すかがポイントになりますね。

介護施設の回数をもっと増やす。そして、お母さんを徹底的に褒めていく。お母さんが介護を一生懸命やっていることは誰も認めてくれないので。

いろいろ言いながらも頑張っているお母様をちゃんと認めてあげる人が必要なのです。

下木:なるほど…確かに母は頑張っている。でも母の愚痴を聞く妻もイライラしてるから褒めるなんてとてもとても。

桃沢:奥さんにも娘としての承認欲求がありますものね。母親を褒めるのは難しいでしょう。

そうなると、うまく立ち回れる立場にいるのは旦那さんしかいないと言うことになってしまう。

下木さんごめんなさいね。でも、この家を救えるのは下木さんしかいないと言うことです(笑)。

それにお母様も異性から褒められたほうが嬉しいはずですし。

下木:(私しかいない!?)でも、身内ってなるとすごい難しいよね。血のつながっていない家族なのにイライラしている自分がいる。

桃沢:そうですね。感情のコントロールが難しいのは、やはり家族だからですね。

下木:旦那さんが家族のキーマンになる。でも、妻と母がガンガンやりやっているところを見たら、そう簡単に踏み込めない。とってもしんどいなぁ。

桃沢:分ります。私は仕事でやっているから頑張れますけれども、それでも30分やっただけでもすごく疲れる家庭もあります。

下木:他人でもそこまで疲れるんだもんね。

桃沢:だからこそ他人に任せられるところは徹底的に他人に任せる。どんどん任せる。1日中ずっと介護をしていると、本当に自分が病んでしまう。

下木:介護疲れで鬱のような状態に家族がなってしまう家庭というのは、やはり多い?

桃沢:とても多いように思います。負が負を呼ぶような感じがします。

下木:他人ですら大変なことを、身内がやるのは本当に大変なことなんだ。

桃沢:使えるものは何でも使ってもらえればいいと思います。ヘルパーさんの悪口を言う、でもいい(笑)。

「あのヘルパーさんを本当にできない人ねー」と言うお母様の愚痴を聞いて、「そうなんだーひどいねーヘルパーさん」とお母様を肯定してあげる。

結果的に家族にコミニケーションが増えれば良いのです。

下木:敵の敵は味方か。

桃沢:もちろんご家族には上手に振る舞って頂く必要があります。「うちの母が悪口いますけれどもそれはあえて言わせているのですみません」と言っておけば、きっとヘルパーさんも理解してくれます。するとヘルパーさんも頑張るし、お母様も楽になる。

ヘルパーさんだって、分かってもらえる人がいたら頑張れる。誰か1人が分かってくれればいいのです。

下木:なるほど。母とヘルパーさん、どちらも上手に扱うのか。

桃沢:お母様のわがままにあえて振り回されてあげる。それが賢いスタンスです。全てを肯定しまくってください(笑)

下木:私の踏ん張りどころ(笑)

桃沢:お母様は自分の配偶者が少しずつ死に近づいていると言う恐怖を感じていらっしゃるはずです。その不安を理解してあげると、肯定しやすくなるかもしれませんね。

気持ちよく振り回されてあげると言うスタンスが持てれば、大抵のことは大丈夫になります。もちろん、カチンとくることもありますけどね(笑)

どんどん衰えていく親にどう向き合うか

下木:父はトイレでベルトを外すだけでもとても時間がかかる。それでも、プライドが高い父はベルト無しのズボンを履こうとはしないとしない。どうすればいいのでしょう。

桃沢:ベルトを外すことも、お父様の手のリハビリだと捉えてあげてください。奪うのではなくて

下木:そうか、そうか、、、。リハビリだと捉えればいいんだ。

桃沢:トイレはとても繊細な部分です。一生懸命自分1人でトイレをやろうとしているということは、人として健常な範囲にいようとしていることです。脳の機能としては正しいことなのです。

その範囲を超えたときには、悲しい現実があるのです。ですから、1人で頑張ってる姿は、とても喜ばしいことなのです。

下木:確かにそうですね。今、すこし私のストレスも少なくなりました^^)

桃沢:とにかく足が大事。立位が取れなくなるとトイレが無理になってしまう。トイレができなくなったときに人は衰えが大きくなるのです。

できるだけ立ってもらう。筋力を少しでも維持してもらうことはとても重要です。

できないと思って周りが立たせないようにすると、どんどん下降するばかり。立てなくなったときに、その人に大きな苦痛が訪れます。凄くしんどいけれども、立てることの意味はとても大きいです。

手を取ってソファーの周りを1周するだけでも良いと思うのです。毎日、足腰のために何か1つやったと言えることをやっておく。本人と家族がやったよね、という気持ちを持てるだけでも達成感が得られます。

下木:そうだね。後悔はしたくない。

桃沢:それに、手なり腰なりを持って少しでも歩こうとすることは、よいスキンシップになります。手の温かみは安心感をもたらしてくれます。

スキンシップが減ってきた家族に、ふたたび手を取るという機会が訪れたことには意味があると私は思っています。

最終的に立てない時が来るかもしれない。立たせられなくてもいい。家族みんなで相談して何かをやることが、お母様、家族にとって意味のあることではないかと思うのです。今日という日を安らかに、穏やかにできるよう心を整えていく。

そのためには、頼めることが外部にどんどん頼んでいく。あえてガンバラナイ。外部で頼めない心の安定を家族が補えれば、穏やかになれます。

下木:少し恥ずかしかったのですが、積極的に父の手を持とうと思いました^^)

選択肢を増やすと心に余裕がうまれる

下木:ところで、普段の生活で父をどれくら手伝っていいのかわからない。歩いていて転倒したこともあるし。

桃沢:私は迷ったときには全部相手に聞くようにしています。ジェスチャーでいいのでお父さんに手を差し出してみてください。その手を見て本人がいらないと言うのであれば任せればいい。決めるのが本人が良いですね、自尊心が保たれますから。必要なときにはお父さんから手を出してくると思いますよ。

一度転倒していると、立つことに対してとても臆病になってきます。動きたくなくなってくるものです。

手を差し出して、安心させてあげて欲しいですね。立てなくてもいいので立とうとすると、リハビリにもなりますし、筋肉を動かすことにもなりますから。

下木:確かに、転んだわけだから立つのが怖くなるよね。そうなるとやっぱり車いすのほうがいいかなって思うけど、車椅子に座らせてばかりいると足腰がどんどん弱ってしまうんじゃないかと思って二の足を踏んでしまう。どうすればいいんだろう。

桃沢:乗らなくても車椅子は用意しておくといいですね。車椅子に乗らないと外出への意欲がなくなってしまうことがあります。外の空気に触れたほうが心身ともにも良いですから。

歩けそうなときには歩かせるし、難しいなと思ったら車椅子を利用する。選択肢を用意しておくと、介護する側にも余裕が生まれる。あらゆる場面に対応できるようにしておけば、もうどうなっても大丈夫って気持ちになります。

下木:確かに車椅子を用意しておくだけでこっちがすごく楽になる!

桃沢:これからいろんなことが起こります。徐々に徐々に老化が進行していく。それに伴って私たちも弱っていく。やることが増えていくにもかかわらず、やれないことも増えていく。そこにうまくサポートや他人の力を借りる。決して無理をして何かをするのではなく、今の自分で楽にできることだけをチョイスしていく。

今やれることが3年後にもできるわけではない。常にやる内容が変化していく。だからこそ家族のコミニケーションはとても大事ですね。もちろん、コミュニケーションは難しいです。でも、受け入れられる人が1人いれば、きっと家族は楽になるでしょうね。

「選択肢は多いほうがいい」桃沢さんはキッパリ言います

介護に関わっていくときの楽になる気持ちの持ち方

下木:覚悟を決めて母、そして妻に「よく頑張ってるね」と言う言葉を伝えてあげるのが私のスタンスだね。

桃沢:そうですね。私もひたすら仕事ではお客さんを褒めまくっています。

だけどさすがに色々と溜まってくる。毒も吐きたくなる。女性はしゃべることによって解消したりするので、発散できる場っていうのはすごく大事だなって思います。

下木:母が父に不満をぶつける。妻が母に文句を言う。これはストレス発散の毒吐きなんだね。

桃沢:そういう意味では、毒吐きができる場所を作ることも介護にとって大きなテーマですね。みんなが毒吐きができる場が欲しいですね。毒吐きルーム、下木さん考えてくださいよ!(笑)

下木:わかりました(笑)介護はストレスと隣合わせだものね。

知識を持って今から準備をしておけば、介護になったときも大きな苦痛を伴わず、スムーズに始められるかもしれない。

桃沢:次が自分ですからね。次の世代がこれを受け継いでいくわけですから。介護をしている親を見て育つここで拒絶してしまうと、次の世代にも拒絶されてしまうことになります。解決は簡単ではありませんけれど、感情を整えていくことはできるかもしれない。よいところを受け継いでいけるといいですね。

介護の現場は乱れているからこそ、自分自身の乱れを整えてから行くことが大事なのです。「やられる」って言う言い方は変だけれども、ほんとに参ってしまうから。

下木:介護には終わりがない。良くなるわけでもない。だからこそ前向きなテーマを持って関われれば、少し楽になれるかも!

桃沢:最後はそこに尽きると思うんです。今を楽しく前向きに一緒に過ごす。今のうちにいい思い出を残していくという意識を持てれば、お母さんも「私がんばったわ!」という満足感を持てるのではないか、って、今感じましたね。

下木:お父さんは正直体が丈夫なので、まだまだ長生きすると思う。さっきまではそれも正直不安材料だった。介護が長引くだろうなぁと思って。

桃沢:じゃあ、接するなかでどれだけ楽しめるかですね。

下木:そうね。さっそく子どもを誘って両親のところに行くよ。介護が子どもたちのプラスになればいいね。

桃沢:あとは下木さんが毒を吐けることですね(笑)

下木:女性はしゃべることでストレスを発散するけれど、男性の場合はどこでストレスを発散するんだろう?私にも分からないぞ(笑)

桃沢:男の人は黙ってしまいますものね。

下木:がんばって毒の吐きかた考えよう(笑)桃沢さん、今日は本当にありがとうございました!

桃沢:介護の話を真剣にする機会がないので嬉しかったです。ありがとうございました!

要介護者が問題を起こしているのでは無いんだ・・・

介護を必要としている人が問題を起こしていくのではなく、現実を上手く受け入れられないひとの気持ちが問題を大きくしていく。

介護をしている人を肯定する。これに尽きる。

お恥ずかしい話ですが、人の話を聞くプロの私でも、家族となると正直難しいのです。肯定することは簡単ではありません。

だからこそ、このコツを夫婦で共有して、できたらお互いをホメ合ってくださいね。

早速うちの奥さんお義母さんを肯定しまくったところ、最初は不安そうだったお義母さんが最後には「心配しなくていいからね」と言ってくれたらしいのです。素晴らしい!!もちろん、私は奥さんをホメまくりましたよ^^)

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shushimokicur
執筆:下木修一郎(しもきしゅういちろう)

NPO法人日本結婚教育協会 愛知支部員
夫の気持ちを知る!夫の気持ち研究家
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