水原一平氏から考える、信頼を裏切る夫の行動(ギャンブル依存症)

アメリカの複数のメディアは20日、大谷選手の代理人弁護士が水原氏が違法賭博に関与したと明らかにしたなどと伝え(中略)、大谷選手の資金を「大規模に盗んだ」としています。

NHK https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240321/k10014397571000.html

このニュースが流れてきたとき、本当にびっくりしました。みなさんもものすごく驚かれたのではないでしょうか。

なにせ開幕戦が行われた直後でしたから。

大谷翔平選手が結婚したというハッピーなニュースのあとに、これ・・・。

まさにアンビリーバボー。。。

ESPNによると水原通訳は、違法なブックメーカーでの野球以外のスポーツペッティングに手を染め、借金が450万ドル(約6億7000万円)に膨らみ、大谷の銀行口座から50万ドル(約7500万ドル)の送金が2度、確認されたという。(中略)前日の韓国でのパドレス戦後に水原通訳はクラブハウスで「ギャンブル依存症の私にすべての責任がある」と懺悔したという。

RONSPO https://www.ronspo.com/articles/2024/2024032104/

このように、水原一平氏はギャンブル依存症だったという話が増えてきました。

本人からのコメントがでていない現在、真相はわかりません。

7億円近い金額の借金となれば、ギャンブルに手を染めたのは半年やそこらの話でもないとも思います。

それだけのことをしているにも関わらず、もっとも身近な奥様はご存知なかったのでしょうか。(2018年にご結婚されています)

もしかしたら、水原一平氏は、直近まで奥様には話していなかった可能性もあります。

→奥様には話していなかったという言葉もでてきました(3/26追記)

そもそも、約4500万~7500万円の年間収入があったにも関わらず、ギャンブルに手を出したのか。

そして、大谷翔平選手の活躍の立役者でもありながら、なぜこんな犯罪に手を染めてしまったのか。

水原一平氏のコメントが出てきていない状態ですから憶測にすぎませんし、もちろんこの記事で水原一平氏について非難するつもりもありません。

なぜなら、これは決して他人事ではない。

もしかしたらあなたのご主人にも当てはまることかもしれないからです。

夫婦カウンセラーとして、結果的に妻をも裏切る羽目になってしまった男性心理を考えてみたいと思います。

ギャンブル依存症とは

水原一平氏が本当にギャンブル依存症かどうかは分かりませんが、ギャンブル依存症とはなにか、をまず知ることにしましょう。

ギャンブル依存症とは、文字通りギャンブルを止められない人。

その人の人生に大きな損害が出たとしても、それをやめることができない症状のことを指します。

もう少し詳しく見てみましょう。

ギャンブル依存症の実態

・日本のギャンブル依存症が疑われる状態になったことがある人の数ですが、2021年の厚生労働省の調査によると、成人全体で 2.2%、196 万 人と推計されています。これは札幌市の人口とほぼ同じです。とんでもない数です。

・30~40代の男性に多く、会社員や自営業者での割合が高いという調査もあります。

・1人当たりの年間ギャンブル費用は調査によってまちまち。競馬では短期間に1000万円以上の赤字に陥ってしまった人や、FXに投資して全財産を失った人もいるそうです。

・借金を抱え、家計が圧迫され、仕事を失うケースも多数。家族関係が破綻するなど深刻な影響がでます。

では、どういう人がギャンブル依存になりやすいのでしょうか。

ギャンブル依存の原因

几帳面で神経質、自己コントロール能力の乏しい人が陥りやすいなど、性格的な特徴があるそうです。

金銭管理ができず借金が増える、家族や職場に嘘をつく、自罰的になりがち等が主な症状。

また、ギャンブルで一時的なストレス解消を図ろうとしたり、大勝ちへの願望から脱しられなくなる心理が働くそうです。

若い人、男性、ストレスへの対処がうまくない人、ギャンブルが身近にあるなどの環境要因などが指摘されています。

依存症対策全国センター https://www.ncasa-japan.jp/understand/gambling/about

男性が女性の約5倍依存症になるという調査結果もあり、ストレスへの対処がうまくできないということも大きな原因でしょう。

昔はパチンコ、競馬など自ら出かけたり、時間が拘束されるものしかありませんでした。しかし今はオンラインカジノ(日本国内から接続して賭博を行うことは犯罪ー警察庁より)もあり、「一晩で3千万が消えた…」というトピックも見受けられます。

また、FXなどのギャンブル性の高い投資もあるため、ギャンブルがとにかく身近になっています。

危険はすぐそこまで迫っている、そのような状態なのですね。

治療と回復への道のり

ギャンブル依存症になると、最初はギャンブルによるドーパミンで快楽を感じていた脳も、次第に鈍感になっていき、より強い刺激を求めるようになるそうです。やってもやっても満足できなくなり、まさに歯止めが聞かない状態になってしまう。脳が変化してしまうそうです。

・認知行動療法、精神療法、薬物療法などが一般的な治療法。自助グループの活用も有効。

・家族の理解と支えが何より重要。共依存にならず、しっかりと向き合うことが肝心。

・一度治療が終わっても再発のリスクが高く、生涯にわたる注意が必要。

・回復までに数年を要することも。段階を踏んで、じっくり取り組む凜とした姿勢が大切。

これらのことを経て快方へと向かっていくのですが、完全に回復することはないという話も聞きます。決して楽な道のりではありません。

水原一平氏がギャンブル依存症なのかどうかは分かりません。ですが、家族も含め、大変な状況であることには代わりありません。

では、なぜギャンブルに7億円もの借金をするようなことになったのでしょう。

これは水原一平氏特有の環境のせいでもありますが、あなたの夫にも十分に起きうることではないかと考えています。

なぜなら、社会的な地位のある水原一平氏ですら囚われてしまった病なのですから・・・。

なぜギャンブルに手を染めたのか

先の話にもあったように、ストレスは大きな要因となります。

水原一平氏の仕事ぶりに対してこのような記事がありました。

自分に関する取材を滅多に受けない、大谷より目立つことを控えるなど、水原氏が周囲に好感を持たれ、信頼される理由は、その細やかな心配りの数々に隠されているのだろう。

NumberWeb https://number.bunshun.jp/articles/-/858218?page=4

メジャーのトッププレイヤーとなった大谷翔平選手の傍らで、常に大谷翔平選手にベストの環境を提供する仕事は、通訳の範疇を超えているお仕事だったのかもしれません。

そのプレッシャーたるや、ものすごいものがあったのでしょう。

野球賭博、しかも大谷翔平選手の財産に手を出した(あるいは大谷選手が肩代り???)わけですが、この問題で大谷翔平選手に多大なる迷惑をかけてしまうことは予想できたはずです。

でも、止めることができなかった。

社会的にも認知され、一平さんの愛称で呼ばれるほど多くの人に愛されていた彼でも、人知れず大きなストレスを抱え、しかもその苦しみを他の人とシェアできずに、ギャンブルへと逃げてしまったのです。

なぜ奥様や周りの人に話すことができなかったのでしょうか。

辛さを妻に話せない夫たち

仕事において、プロフェッショナルであればあるほど、そのストレスはとても大きなものになります。

さらに、誰かをサポートする仕事となれば、そのストレスは半端ないものでしょう。

水原一平氏の場合、自分の成功は、大谷選手の成功にかかっている、つまり、大谷選手の成功が自分の成功(成果)と考えたのではないでしょうか。

世間もそのように見るでしょう。

大谷選手が選手として評価されるほどに、水原一平氏の露出も増えて好感度も増していったことからも見て取れます。

もちろん大谷選手は水原一平氏の評価と自分の評価は分けてるでしょうし、奥様だってきっとそうに違いありません。

しかし、いくらそう言われたとしても「そうだよね!」とはならないのではないか。どんどん存在感を増していく大谷選手についていくために、とんでもないストレスと戦っていたに違いありません。

同じ男性同士だからこそなおのこと。宇宙一の野球選手になろうとしている人と常に一緒にいる生活は、私たちにはとても想像することができません。

男性はストレスの解消がとにかく苦手です。

女性のように喋ることで発散することができず、内側に籠もり、自分で解決方法を考えようとします。

この自分で問題解決を図ろうとする思考が問題を引き起こしてしまいます。

考えれば解決できる問題であれば、それでもいいのです。

しかし、自分で解決することができない、自分の内面的な問題だとしたら。

役立つ人間でいなければならない自分。期待に応えなければならない自分。結果を出さなければならない自分。

これは水原一平氏だけでなく、多くの男性が抱えがちな問題です。

自分で勝手に背負い、苦しむ。

辛さを人に分けることができない、まさに男性の弱さを象徴する話ともいえるでしょう。

妻に話ができるようになるためには、夫自身が

1)自分は弱い人間であると気づく

2)弱い人間である、ということを受け入れる

3)自分の弱さをみせてもいいんだ、という妻との信頼関係の構築する

この3つが必要になります。

1)の自分が弱い人間である、という気付くことはとても難しい。プロフェッショナルでいる以上、強くあらねばならないと自分自身を思い込ませてしまいがちです。

社長になったら、みんなをひっぱっていかなければならないと自分を鼓舞する。いい社長でいなければならないと思ってしまう。そのような状態で自分を客観的に見ることは難しい。会社を経営している人はそれだけでプレッシャーがかかります。

弱さを出さない人間は、孤立していきます。

そして、さらに自分を追い込んでいくのです。しんどいですね・・・。

2)の自分は弱い人間である、というのは、プライドの高い人間だけでなく、低い人間にとってもハードルの高いことです。なぜなら、弱さを受け入れるのは、強さだからです。心が強くないと、自分の弱さを受け入れることはできませんものね。

3)は妻側にもできることはあります。インスタグラムでもよく話をしていますが、相手をしっかりと受け止めることができれば、信頼関係の構築にはつながります。

言い換えると、妻にできることは、徹底的な受け止め、ということです。

ただ、水原一平氏の場合、野球選手のサポートという特殊で、基本大谷選手優先の生活の中、誰も経験したことのない状況や環境のなかで、夫婦の間でどれほどのコミュニケーションが取れたのだろう…と考えると、やはり簡単なことではなかっただろうと感じてしまいます。

ギャンブル依存症に対してやってはいけないこと

ギャンブル依存症に対して、実際にご相談を頂いたお話を紹介します。

主人はキャバクラ通いやギャンブル等で何度も借金をしてきました。
借金が発覚する度に離婚の話も出ましたが、主人の母親が肩代わりする等で離婚はせずにきました。
私がお金のことで怒るので、お金のことで何かあると私には内緒で母親に何とかしてもらっていましたが、片親の母親もお金がなくなり、最近は母親経由で母親の弟さんから借りていました。
先日、その弟さんにしている借金が一千万円を超えているのがわかりました。

夫婦図鑑 https://fufuzukan.com/【夫婦相談】借金が一千万主人を納得させ離婚-3030.html

こちらの例は、とにかくお金使いが荒かったケースです。

このケースでは親が肩代わりする、という対処をしてしまいました。

実はこれは致命的なミスであるといえます。

そもそも何度も借金をしている時点で、ある種の依存状態であるわけですから、脳の構造も変わってしまっており、自身では制御できない状態にあるのです。

にも関わらず、母親が肩代わりをしてしまった。つまり借金しても、誰かが返してくれる、と学習してしまったのです。

次のケースでも同じことが起きています。

第二子妊娠中に主人(当時自営業)の借金(消費者金融)が発覚し、何の相談もなかったのでショックでしたが問い詰めると理由は生活の為とのことだったので貯金で清算しました。そしてその後も繰り返されその度清算しました。
主人は家族よりも自分の事が優先、嘘も平気でつきます。 生活費が足りないのに仕事で遅くなると言って遊んで帰ってきます。 帰って来るのは子供達が寝てからです。 私もフルタイムで働いていますがそれでも生活費が足りないので話し合おうにも都合が悪くなると話題をすり替え、質問しても答えない、そして私を攻撃するような発言をされるので冷静を保つのに必死で話し合いになりません。

夫婦図鑑 https://fufuzukan.com/相談なく借金されて、主人を信用できなくなった-2968.html

こちらのケースは自営業の生活苦による金銭問題です。ギャンブルとは言われませんでしたが、表にはでておらず、ギャンブルに使った可能性も十分にあります。

これも奥様が肩代りする形で精算されています。

肩代りしたい気持ちは痛いほど分かります。ですが、それをやると繰り返す。これが依存の怖いところです。

とても苦しい選択となりますが、必要なのは

「底付き」

という環境づくりです。これ以上に「底」はない、という状態にして、自身に気づいてもらうしかないのです。

水原一平氏の場合は、社会的なダメージはとてつもなく大きい。ですが、その注目度の高さゆえ、きっと多くの人が彼を救おうと動くでしょう。彼がその手を掴むかどうかは分かりませんが、チャンスはあります。あるのです。

しかし、一般の人の場合は違います。

夫が借金をしていることに苦しさを覚え、親族であったり、妻がそれを補おうとしてしまいます。余力があればなおさら。

でも、本当に彼を救うのであれば、残念ながら彼に気づいてもらうしかない。それは、落ちるところまで落ちてもらうことしかないのです。

落ちたうえで、自身が正しい治療を受けるという行動を取らなければならない。

本人がギャンブル依存症から回復したいと感じない以上、周りが何をやっても無駄なのです。。。

とても難しい決断ですから、離婚することも視野に入れても誰も非難しません。夫を本当に救いたいのと同時に、自分や家族を守らなければならないと思うからこそ、厳しい決断が迫られます。

そのような決断を貫き通すことは一人では難しいかもしれません。どうかあなたを支えてくれるひとを探してください。心を打ち明けられる場所を見つけて、ひとりではなく、みんなで一緒に乗り越えていきましょう。

心より応援しています!

執筆 夫婦再生カウンセリング名古屋 主宰 下木修一郎(しもきしゅういちろう)
夫の気持ちを知る!夫の気持ち研究家
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