夫のSOSに気づかない妻 〜「わかったつもり」がすれ違いを深める〜

夫との会話がうまくいかず、黙っている夫に対して苛立ちと無力感を感じる妻

夫婦再生カウンセラー、下木修一郎です。

夫婦カウンセリングをしていると、「なんで夫はちゃんと話してくれないんでしょう?」「黙ってばかりで、何を考えてるかわかりません」というご相談を本当によくいただきます。

同じ男性としては痛いほど分かるのですが、女性には分かりませんよね。めっちゃ難しいと思います。

これらの夫の反応をよく観察してみると、実は夫の“無言”や“そっけない態度”の中に

「助けて」のサイン=SOS

が隠れていることがあるんです。

それを見逃していませんか?というお話。


男は感情を言葉にするのが超苦手。

まず知っておいてほしいのが、夫たちは、妻に比べて

自分の気持ちを言葉にするのが圧倒的に下手

これは性格の問題じゃありません。

特に子どものころから「泣くな!」「男なら我慢しろ」と言われて育った男性はこの傾向が特に強いでしょう。
感情を抑えることが“かっこいい男”だと思わされてきたのです。

ただ、全体に男性は気持ちを表すことが苦手だとも感じていて、それは脳の仕組みも影響しているようです。

脳の仕組みというのは、右脳=感情、左脳=言語化を司っているそうなのですが、その脳をつなぐ脳幹というパイプが女性に比べて貧弱だそうでして・・・あらら。

その結果、「自分が感じてることをうまく言語化できない、言葉にできないから、自分でもよくわかってない」ってことが起こってしまうのです。

(脳内は言葉(日本人なら日本語)で思考するので、言葉にできないということは結構大変な事なのです)


会話が嫌なんじゃない。怖い。

よく、「夫は話し合いから逃げる」と言われます。

確かに、ちょっと喧嘩っぽくなって、一所懸命妻が話をしていると、「もういい」と返す男性は多いですよね。

(実は…昔の私もそんな感じでしたよ)

でもこれ、“逃げてる”んじゃなくて、“爆発しそうなのを必死に抑えてる”んです。

例えば、感情が高ぶってくると、脈が速くなって、息苦しくなって、カーーッと頭に血がのぼる。
そのまま話し続けたら、絶対ケンカになる。下手したら手を出す。それは絶対にダメ。人として。弱いものいじめをしているのと同じになってしまう。

だから、その場を離れる。黙る。
男性の逃げって、理性の最後のブレーキなんです。

夫は「怒りたい」のではなく、「傷つけてしまうのが怖い」から黙る。

自分で自分をコントロールすることは難しいですよね。自分の感情をうまく言葉にできないとしたら、なおさらです。まるで言葉を発することがうまくできない幼児の癇癪のような状態に、いい年こいた男性もなってしまうのです。

それが結果的に妻を苦しめるのですが、その苦しんでいる妻に対して、どう対応すればいいか分からない男性もまた、苦しいのです。


「俺のこと、どうでもいいんだろ!」に隠された本音

ある日突然、夫が「もういいよ!」「どうせ俺のことなんて、どうでもいいんだろ!」って感情を爆発させた。

妻からすれば、「は? そんなこと一言も言ってないんだけど??」ってなると思います。

でもね、これ、急に始まったんじゃない。
夫の中では、小さなすれ違いが、じわじわと積み重なってた結果なのです。

例えば・・・

「ありがとう」と言ってもらえなかった。
自分の話にうなずいてくれなかった。
提案しても「またそれ?」と一蹴された。

そのひとつひとつが、「認められていない」っていう思いになっていったものだと思ってください。

言えばいいじゃないですか!と思いますよね。
それを言えない。なぜか。

カッコ悪いから。

ありがとうって言ってよ!
俺の話を聞いてくれよ!

と妻に懇願する夫の姿に、絶対「キャー素敵!」なんて思われない。(とメンズは思ってる)

「自分の気持を素直に言える男性なんて希少よ!最高!」なんて言葉を夫婦関係でサラッと言える女性がおられましたら、ぜひご一報を!


「そんなことないよ」と否定するより、大事なこと

さて、ここで大事なのは、夫が「俺のことなんてどうでもいいんだろ!」と言ったとき、妻はどうすればいいのかを考えてみます。

まず絶対にやってはいけないこと、それは・・・

とすぐに否定しないこと。

え?否定?
はい、これは否定です。彼の意見を真っ向から否定しています。

夫のことを応援したい!というとっても気の回られる妻が言いそうな、そっても素敵な言葉に思いますよね。そんなことないよ、あなたのことは大事に思ってるんだから!という意味での「そんなことないよ」は、勇気づけになりそうで、、、なりそうなんですけど・・・実は、微妙なんです。

これは女性と男性のコミュニケーションで大きく異なる一つの特徴ですね。
例えば・・・

「今日前髪がほんと変なんだって!」と言ってる女性に対しては、あなたはなんて答えます?
「そんなことないよ!かわいいよ!」ですよね。

女性はそれを求めて自己否定をします。(なんか偉そうにすみません)
ところが、男性の場合は違います。

「俺この仕事本当に向いてないんだよ」という否定があった場合、「そんなことないよ」と答えてしまうと、ちょっと変なことになります。

この言葉の正しい意味は『俺にはもっと向いている仕事がある』です。自分が仕事をうまくできないのは仕事や周りのせいだ、と言っているわけです。それに対して、そんなことないよ!というと、<あなたにその仕事はお似合いです>になるわけです。

めんどくせぇ。
そんなこと分かります?わからないでしょ?

仮に分かったとしたら、それはそれで厄介ですよね。仕事から逃げるの?って気持ちになりますよね。そうするとまた複雑なことになります。なので、今は見逃してあげてください。

まずあなたが夫との関係で築かなければならいこと、それは

【君は俺の味方】

です。それが築けさえすれば、その後いくら夫に対して辛辣に言ったとしても、夫は聞く耳を持てるようになります。

夫婦になって、すぐに強固な関係が築けるわけがないのです。当然時間がかかります。
私も奥様に10年かけて関係を気づいてもらいました。その結果、妻に貢献することを喜びと感じられるようになれました(笑)

なのでこれはしっかりと覚えておいて下さい。

何よりも大切なのは、「わかってあげよう」という姿勢ではなく「わかったつもりを手放す」ことです。

「そう思ってたんだ…」
「そんなふうに感じてたんだね」

こういう<受け止め>が、(俺のこと分かってるかも・・・)という変化につながり、夫の心の壁を少しずつ溶かし、あなたの笑顔で何でもやる従順な犬夫を作るのです。

最初は面倒です。でも、この関係さえ作れば、男なんてチョロいのです。ヒッヒッヒ。


妻もまた、認められたい

しかし!!!

その受け止める一言が言えない。言えます?言えないですよね。

なぜか!?

これは本当に多いのですが

──妻もまた「私は認められていない」と感じているからです。

少なくとも、お話を伺っていると、私の目にはそう映ります。

家事も育児もがんばってる。
夫のために必死にやってる。

それなのに、感謝も共感もない。

──そりゃ、つらいですよ。

お互いが「認められていない」と感じてるとき、どっちが先に歩み寄るか。

それを決めるのは、「どちらが正しいか」じゃなくて、「幸せになりたいか」です。

そして、より幸せになりたいと思った方が行動するのです。

──行動した方が「後悔が少ない」のは誰でも知っていますね。


まずは、“黙っている夫の声”に気づくことから

夫が黙っている。
ため息をつく。
寝室にこもる。
やたら仕事を入れる。
スマホばかり見る。

これ、すべて“夫なりのSOS”のサインかもしれません。

でも、そこで「また逃げた!」と追いかけてしまったら、夫はますます心を閉ざします。
だからこそ、観察する力が大事。

そして、「どうしてこの人は、こんなことをするんだろう?」と、<分かったつもり>をやめて、もう一度ちゃんと見ること。

それが、夫のホンネに近づく第一歩です。

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最後に

夫婦って、ほんとうに難しい。
でも、難しいからこそ、面白いし、奥が深い。

感情表現が苦手な夫と、つながりを大切にしたい妻。
違うからこそ、学び合えるし、成長できる。

どうか、夫の『無言』や『不器用さ』を、「愛されてない証拠」ではなく、「彼なりの悲痛な叫び」だと思ってみてください。

きっと、あなたにしか気づけないSOSが、そこにあるはずです。

応援しています!!ともに夫婦という人生の豊かな経験の場を楽しみましょう!!

執筆 夫婦再生カウンセリング名古屋 主宰 下木修一郎(しもきしゅういちろう)
夫の気持ちを知る!夫の気持ち研究家
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